いろんな思いを抑え、自分自身を大切にしていなかった… |
大阪校 石川 達之さん(54歳 男性)
私が日本メンタルヘルス協会の講座を受講すると決めたのは、数か月前から受講していた妻の話に興味を持ったからでした。妻は5年前からうつ病になり、昨年は仕事も辞め、どうやって生きていったらいいのか、模索する日々を送っていました。一方私は、そんな妻への想いを曲にし、その歌を歌う機会が多くなりました。ライブが終わると人目を避けるように近づいて来るお客さんから、うつ病の家族のことを相談されることが何度もありました。でも、うつ病については妻と本からの知識しかない私は、その度に返答に困っていました。
そんな時に妻からメンタルの講座の話を聞き、その講座を受講して得た知識で相談に応えることができるのではないかと思うようになったのです。 まず体験セミナーに参加し、その面白さと「生き方」についての示唆に富んだお話に引き込まれるように聴き入ってしまいました。妻から「すごく楽しかった。」とは聞いていましたが、予想をはるかに超える衝撃を受けました。
私はすぐ基礎コース前編の受講を決めました。まず「聴き方」を学び、最初はあまりの面白さに笑いすぎて涙を流しましたが、その後今までいかに「聴く」ということができていなかったかを知り、愕然としました。
うつ病の妻に対しても「聴く」ことができていなかったとやっと気付いたのです。
そして「Iメッセージ(自分の気持ちを素直に伝えるメッセージ)」と「YOUメッセージ(相手の言動を指摘するメッセージ)」。グループワークで「もっと早く、子育ての時にこの講座を受けていればよかった」という声が多かった中、私は子育てに関しては「Iメッセージ」で子供に気持ちを伝えてこれた嬉しさを実感しました。
ただ、妻にはちがっていたのです。妻にはそうしてこなかったことに気付かされショックを受けました。
妻がうつ病になった当初、私にはうつに対する知識がなく、本人にとっては一分一秒が苦しく、生きていることさえ辛いという気持ちを分かることができませんでした。また当時の私は、仕事から帰ると家事をやりながらライブ活動やNPO活動を行っていました。苦しむ妻を救いたいと思いながら、どうしていいのか分からない毎日でした。
「こんなに大変な思いをしながら俺は頑張っているのに、なんで自分がこんな思いをしなければいけないのか」とさえ思う瞬間もありました。
うつ病関係の本を何冊か読みましたが、そのほとんどがうつ病体験者の手記や、医師からうつ病患者への提言でした。私が知りたかった、家族としてどううつ病患者へ接すればいいのかという事はまるで書かれていませんでした。
でも、その答えはメンタルの講座の中にありました。
まさに「聴く事」と「伝え方(Iメッセージ)」でした。妻の心に寄り添い、妻の話を聴くことだったのだと気付きました。そして苦しむ妻にYOUメッセージで伝えていたのだと気付かされました。ただただ後悔するばかりで、当時の事を思い出して涙が流れました。 しかし、想いはあっても反射的に「指示・命令」で言葉を発してしまうことがまだまだあります。「お前なぁ、もうちょっと考えてやれ!」と言った後にハッと気付き・・・「ということを、俺はこれからIメッセージで言うようにするからなぁ。」と語調を和らげて続けたりしながら、夫婦で爆笑することが何度もあります。
夫婦でメンタルの講座について話すようになるなんて、半年前には想像もできなかったことです。話すことで二人の心の距離がこんなに近くなったのはメンタルのおかげだと思っています。
また、基礎コース後編の「音楽力」の講座では驚くような発見がありました。 そして、私自身、音楽に関わることを仕事としていますが、改めて音楽の力の強さや深さを教えていただきました。
妻から「『音楽療法』では男性もよく泣くらしいよ。」と言われていましたが、まさか自分はないだろうと思っていました。教室の照明が落とされた時は、ますます泣くわけにいかないと思ったくらいです。
郷愁を帯びたマイナー調の音楽が流れる中、子供の頃の父親を思い出しているうちに、予想もしていなかったタイミングで涙が溢れてきました。それは私にとっては驚きとしか言いようがありませんでした。
小さい頃から母につらく当たり、子供にも口うるさい父が憎くて、中学生の頃から口を利かなくなりました。高校生の頃には父の胸倉をつかんで殴りかかったことも何度もあります。私はずっとそんな父親にはなるまいと思いながら子供に接してきました。暴力をふるわないのはもちろん、こちらの意思を伝える時には、ちゃんと子供の目を見て話すようにしてきました。学校の行事にも参加し、子育ても夫婦でやってきたと思っています。子供が部活を辞めると言った時も、大学を辞めたいと言った時も、自分は世間体を気にしているのではないか、本当に子供のことを考えているのか、と心の中をチェックするようにしていました。それもすべて、父のようにならないためでした。
「大切な人にIメッセージで感謝の言葉を伝える」というワークでも、母や妻への言葉は浮かぶのですが、父に対しては感謝の言葉を伝えること自体念頭にありませんでした。
それなのに、音楽療法のワーク中は父の姿が浮かび、涙が流れて仕方ありませんでした。 今の自分より若かった頃の父は、口うるさくて暴君だったが、女遊びをするわけでもなく、ギャンブルに手をだすこともなく、酒におぼれることもなく、残業の毎日で大変だったのだろう・・・・。
口を開けば勉強しろと口うるさかったのも、学歴がなく会社で冷遇された悔しさを子供に味あわせたくないという想いだったのかもしれない・・・。
何か言っても「ええ?」と何度も聞き返してくる父に、若い頃の私は苛立っていましたが、爆音に近い騒音のする工場でずっと働いていて、耳は聞こえづらくなっていたはずです。幼い私を抱いた若い頃の父姿が浮かび、涙が溢れてとまりませんでした。
表現方法は不器用だったけど、私のことを愛してくれていたことに間違いはなかったと、素直に思えました。
そして、さらに意外だったのは、自分に対しても涙が流れたことです。自分自身が好き!と言う以上に「自分マニア」で、自分街道まっしぐらだと思っていたのに、実はいろんな思いを抑え、自分自身を大切にしていなかったと気付いたのです。
メンタルの講座を受けていなければ、父や妻に対する気持ちに変化はなく、自分自身の事も気付かないままだったと思います。受講する中で自分自身を知ることになり、妻、そして両親に向き合うことができました。また、多くの受講生の方と話すことで、たくさんの大きな気付きと学びを得られたことに感謝いたします。
|
~受講生のレポートより抜粋~ |
紹介スタッフ:吉原 |
鳥取県からご夫婦で受講して下さった石川さん。 そして、11月13日の基礎修了パーティーもお二人そろってご参加下さいました。 ご夫婦で基礎心理カウンセラーです!
今まで何組ものご夫婦が一緒に受講されました。そのご夫婦を見ていると、毎回心があったかくなります。石川さんご夫婦もそうです。 同じことを学ぶ事で、家での会話も増え、お互いの想いに気付き、寄り添う事で心が同じ方向を向いていかれるように感じます。
私の母も以前メンタルの講座を受講していたのですが、「お父さんも受講すればいいのに・・・」とよく言っていました。 夫婦で受講できるという事は素敵なことなんですね。
家族という身近な存在であればあるほど、わかってくれて当たり前、言わなくてもわかるはず、、、と関係に甘えがでます。でも、受講していくうちにみなさん気付かれていきます。身近な人だからこそ、たくさん話をし、想いを伝え合い、心を寄り添う事が大切なのだと・・・。
今後、さらに学びを深めるため、研究コースもお二人で受講されます。 人生のパートナーはもちろん、心をサポートするカウンセラーとしてもお互いにパートナーなんですね。
研究コースでお会いできるのを楽しみにしています。 石川さん、素敵なレポートありがとうございました!
|
|