大阪校 吉野 純子さん(42歳 女性)
私が初めて心理学の講座を受けるきっかけになったのは、知り合いからの紹介でした。 「とにかく一度受けてみられるといい。何度同じ話をお聞きしても、同じ内容だとわかっていても泣いてしまう。そんな素晴らしい感動のセミナーですよ。」と教えていただいたのがきっかけで、講座に通うようになったのです。
始めは、家族関係に悩んでとか、会社の人間関係に悩んでとか、友人関係に悩んでというようなことで受講を始めたわけではなかったので、初めてのグループミーティングでは、正直とても戸惑いました。
こんなに多くの方が、それぞれの悩みを抱えて受講されておられるということ。 明るく見える方でも、とても大きな悩みを抱えておられること。 考え方、感じ方の違いに驚き自分自身、「これが正しい。」といった自身の固定観念に縛られていることに気づくことができたように思います。
基礎コース前編1回目の「相手の問題を解決に導く聴き方」では、普段何気なく当たり前だと思って行ってきた会話が、いかに問題を引き起こす可能性があるかということに気づきとても驚きました。 自分は自分の大切な人に、考え方を伝えたいときに自分自身の常識の中で行動を変えようとしているのではないだろうか?
また、前編3回目の「相手の行動を変える自己開示」の講座で、相手の行動をいかに非難せずに、具体的に影響する事柄を伝え、こうして欲しかったという期待や感情を提示することで、相手の行動は全く変わるのだということを勉強させていただき、どこに焦点を当てるかで人生観は全く変わるのだ、ということに気づかせていただきました。 衛藤先生の、「その人生から何を学ぶのですか?」 「何を食べたかではなく、何を吸収するのか?」 「一番苦しい時が充電する。人生もうまくいかない時が大切。」とのお言葉に、こみ上げてくる想いがありました。このお言葉が心にしみこんできたのは、後編コースの音楽療法を受講させていただいた時のことです。
音楽療法の心理学では、はじめて自分の内面に隠れていた自分と出会うことになりました。 「音楽療法はたまっていたものを吐き出す。」と先生がおっしゃっておられたように・・・。
自分が何にコンプレックスをいだいていたのか? 何に対して嫌悪感をもっていたのか? 誰に対して愛情を求めていたのか? を知ることができました。
音楽を聴きながら、イメージしたこと、感じたことを同じテーブルになった人と話す。 この中に隠れていたヒント。それは「闘う」ということでした。 これには自分自身が驚きました。特に、これといった悩みがあるというわけではないのになぜだろう?自分でも不思議でした。
その答えが音楽療法の講座でわかりました。 講座の最後に行ったワークの時に、教室の電気をすべて消した状態で、ペアになった相手が立ったままで座っている自分を見下ろす動作の時、自分を見下げるように冷たく見る相手の目の中に、祖母の顔が浮かんだからです。 その時初めて、まだ自分の中で整理できていない過去の自分を知ることができました。
私の父は、先天性の白内障の症状が悪化したため、家族の生活を支えるためにサラリーマンから和菓子職人を目指したのですが・・・。 初めての商売でなにもわからない状態の仕事を軌道に乗せるため、やむなく私たち姉妹2人を祖母に預けて働かざるを得ない状態になりました。
祖母にあずける際、泣いてすがる2歳の私を母は手放すことができず、じっと泣くのを我慢していた6歳の姉だけが祖母に預けられることになりました。 中学2年生までは母のもとで姉と離れてくらし、それからは祖母のもとで預けられていた姉と一緒に暮すようになりました。
祖母は小さい頃とても苦労した人で、愛情不足で育ったため一人っ子の父を溺愛し、母と結婚したあとは、母に父をとられたような感覚でいたようです。 姉が生まれてからは、父に似た姉を溺愛するようになり、母に似た私の存在をとても疎ましく思っていたようでした。
私が祖母のもとで暮らすようになってからは、姉を独占することができなくなったような気がしたのか、姉への独占欲から出た祖母の言葉に私はとても悩まされるようになりました。
何度も「あなたはいらない子だったのに。」「生まれてこなくてよかったに。」と言われるようになり、勉強もよく出来て、素直な姉との比較をされていくうちに、いつしか祖母に対しての嫌悪感が生まれ、それが姉に対する感情へと移行してしまいます。
姉とはなかなか折り合いが合わなくなって、お互いに結婚して離れて暮らすようになってからは、あまり話すことも、顔を合わすことも無くなってしまっていました。
もう何年もあまり会うことのなかった姉と会うようになったのが、父の複雑骨折での入院と母の原因のわからない病気がきっかけでした。 なぜこれほど、何もかもが重なるのかと思うほど何もかもが重なった時期でした。
母はとても苦労した人でした。いつも夜中まで働き、いつ寝ているのかわからないほど。 どんなに大変でも、いつも祖母との間に入って私をかばってくれた母。 祖母の事をいつも謝って、仕事でどんなに夜遅く帰ってきたときでも黙って話を聞いてくれた父。 今の自分があるのは父母の変わらない愛情のお陰です。 大好きな父が複雑骨折でもう歩けなくなるかもしれない。大好きな母の原因のわからない病気。 私は会社を辞めて起業し6年でやっと軌道に乗り始め、父母に親孝行ができるかと思った矢先のことでした。
母の病気は最初病名も分からず、どんどん動けなくなって、立てなくなって、字も書けなくなって、そうした進行していく病状をみて「パーキンソン症候群」と医師からは告げられました。 「このままでいけば5年であなたのことも分からなくなるでしょう」という宣告を受けます。
このとき姉は離婚をし、3人の子供を育てなければいけない。 そんな苦しい生活の中、重度のうつ病だと診断されてしまいます。両親は私一人を頼りにするようになりました。 病気だとわかっていても何もしてくれない姉のことを責める気持ち。父母を失う恐怖。 そんな気持ちを自分の中に押し込めたままだったように思います。 辛いことも、苦しいことも自分の心を磨く砥石のようなもの。そう思っていたはずなのに・・・。
心理学の講座を受けるまでは・・・。 どんな時でも、笑顔でいよう。 誰からも好かれるように。 父母の自慢娘でいなくてはいけない。 弱い自分を隠して、強い自分を表に出す癖をつけてしまっていたようです。
「I love you , because you are you」 この言葉を教えていただいた講座の後は、家に帰ってから涙がとまりませんでした。 この日にこんなメールを姉に打つことが出来ました。
「小さい頃、あなただけおばあちゃんに預けられたこと。 おばあちゃんが、たった一人しか愛せなかった気持ちも理解できるようになりました。
おばあちゃんに溺愛されたゆえに、両親の愛情が私にむいてしまったこと。 本当にさみしかったのは姉さんだったんだと思います。 逆の立場だったら、もっとつらかったと思う。 お父さんの身代りにさせてしまってごめんね。 長い間わからなかったけどつらかったよね。姉さん。」と。
姉からは、「あなたが頑張ってくれたから。お父さんとお母さんはしあわせなんだから。身代りなんて思う必要ないよ。あのときはそれが必要だっただけ。誰のせいでもない。あなたがほんとに助けてくれたんだからありがとう。」というメールがとどきました。
自分の奥に眠っていた凝り固まった感情をときほぐすことができたのも、姉のことを姉の立場になってちゃんと思いやることができたのも心理学の講座のお陰だと思っています。 そして最後の講座「トランスパーソナル心理学」の講座は、もうどう表現したらいいかわからないほどに感動しました。
心のどこかで、母の病気のことをとても不憫にそして不公平に思っていた私は、母が体で教えてくれたことに、本当の意味で感謝しなければならないと思うようになりました。 すべてはつながっていて、すべてはつながりにもどる。母を失う恐怖が薄れたように思います。 すべての人が幸せになるために、優しさといたわりを持った人たちが溢れる世の中。 みんながいたわりあって生きることが当たり前の世の中になるように。
グループミーティング後の拍手の温かさも、講座の度の先生方の熱い想いも全部、たくさんの方々の幸せを願ってのことなんだ。と感動しました。
最後の講座で、人も、動物も、植物も、すべて原子でできていて、 みんなすべてつながっていて、同じなんだということを教えていただいて。 なんだかとても温かな気持ちで包まれるような感覚になりました。
自分も一人でも多くの人に、幸せや喜びを与えられる人になれるように。 いつも誰かの幸せを願って頑張れる人になりたいと思います。
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~受講生のレポートより抜粋~ |
紹介スタッフ:鈴木 |
ご自身は特に悩みがあるとは思っていらっしゃらなかった吉野さん。 でも、音楽療法の講座で、悩みがなかったのではなく、 自分の気持ちを封印していたことに気づかれました。
押し込めていた自分自身の気持ちを引き出し、それを受け入れる作業は、 とても辛く、苦しいことだったと思います。 でも、そこから逃げることなく、きちんと向き合われたからこそ、 お姉さんへ正直な気持ちを伝えることができ、 お姉さんからも温かい言葉が返ってきたのだと思います。
大好きなお父様の骨折とお母様のご病気。そしてお母様を失う恐怖。お姉さんの鬱病。 こんなにも重なるものかと、当時思われていたと思います。 家族の中で自分だけが身体的に健康で仕事を続けていることが出来るからこそ、 ある意味家族の問題が全部自分にかかってきている・・・ 私も同じ状態なので、自分自身と重ねながら、レポートを拝見させて頂きました。
私自身は、父はすでに亡くなり、関東にいる母は要介護の状態が進んだため施設に入所してもらい、兄は借金問題があり連絡が取れない状態。 父が亡くなってからも母と兄については様々な問題が起こり、何かあれば行政や施設の方から 私宛に「ご家族としてどうされますか?」と確認の連絡が入ってきます。 その時に改めて家族の行く末を決めるのは自分しかいないんだなと実感します。
まだまだ解決していない問題が多々あるので、 これから何が起きるのか予測することも出来ない状態ですが、 どのような事が起こってもそれが私に課せられた人生の宿題なのだろうと思っています。 吉野さんのレポートを読ませて頂いて、改めて私自身の家族のことを振り返り、 気づかせて頂きました。
吉野さんは会社経営者として日々頑張っていらっしゃいます。 ご自身のお仕事の上でも色々な事がおありだと思います。 同年代の受講生さんの中には、同じようにご自身のお仕事の事とご自分のご両親やご兄弟の事で 悩まれている方が多くいらっしゃいます。自分の両親の「老い」、それにまつわる新たな家族の問題。 でも、皆さんそれぞれが、ご自身の中で答えを見つけようと前を向いて歩んでいらっしゃいます。 吉野さんのレポートは、そんな方に勇気を与えて下さったと思います。
本当にありがとうございました!
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