大阪校基礎コース修了 羽織依里子さん 36歳
自分の「あるがまま」を愛してみよう
講座の中で、「人間は悩んでいる状況のときに、それを解決し一歩前へ進むよりも、悩んでいる状態を続けている方が実は安定していて、悩み続けている場合もある。人間は変わることよりも良くない状況であっても変わらない方が楽な場合もある。」という内容のお話があり、まさに自分のことだと思い「ビクッ」とした。私は、昔から何でも自分から「辞める」勇気が無い方で、小さい頃から習い事やクラブ活動等、途中で辞めたことがなかった。
「始めたからには続けなければならない」という親の教育があったからか、私はどんなに嫌なことでも自分から「辞める」という勇気より、「続ける」という状態の方が楽でした。それは今の仕事に関しても同じで、大学を卒業してから、ずっと同じ会社(学校)で働いている。
友人達からは、「ずっと同じ会社で働くなんてすごいね」と言われますが、私からしてみたら、「辞める」という勇気が無いから続けているという状態だったんです。
長年同じ会社に勤めているため、その会社での地位は上がっていき、その会社で通用する能力はあるものの、それが他の場所で通用するかという不安があり、辞めたいと思うことがあっても、辞めることが出来ませんでした。その様な状態なので、常に「このままではいけない。何とか抜け出したい」と焦っているものの、「でもどうしよう。抜け出したところでより悪い状況になったらそれも困るな」と将来に対する不安が多く、具体的に動く事ができずにいました。そんな気持ちの時に、同じ会社の尊敬していた方からキャリアカウンセラーという資格の話を聞き、それは今まで自分が働いてきた中で培ってきた相談業務や面接指導などの経験も活かせるということを知りました。
「この資格が取れれば、何かが変わるかもしれない」という気持ちと、何とか自分の今までの経験を形に残したいという思いから、講座に通い、必死で勉強し、筆記試験、実技試験を受験し、今年の冬に合格しました。この試験勉強を通じて、私はカウンセリングというものの難しさを知り、もっと深くカウンセリングや心理学を学んでいきたいと考えるようになりました。
それと同時に同じ試験合格を目指す素晴らしい友人達と出会いました。
その友人の一人からメンタルを紹介して貰い今に至っています。その頃とちょうど同じ時期の昨年の秋頃から冬にかけて、仕事において、色々嫌なことが重なり会社を辞めたくて仕方がなかったんです。
何をしても裏目に出てしまい、かなり精神的に追い詰められていたので、体調も壊し、ずっと胃腸の調子が悪い状態が続いていました。
この状況ではさすがにもう続けられないと考え、資格も取得できたので、本気で辞めようと思い、退職願を年末に出したのですが、その時は上司にものすごく引き留められ、自分自身も決断がつかず、「あと2ヶ月考えます」と言ってしまい、そのまま2ヶ月働きました。
2ヶ月後の2月末にもう一度退職願を出しましたが、その時も引き留められ、「気持ちは変わりません」と言ったものの、自分自身の中で何故か急に、辞めた後に他の仕事に就くことが出来るかという不安が大きくなってしまい、最後の最後に辞めるという決断が出来なかったんです。
その時は「私は何をやっているのだろう。」「本当に自分は勇気が無いな。」とつくづく情けなく思っていました。そのような状況があったので、冒頭のお話は自分には深く突き刺さりました。
そう、石橋を叩いて叩いて壊してしまうくらい慎重な私にとっては「変わる」というのは本当に大変な勇気が必要だと感じていました。
後編の第1講座の中の「神よ 変えられないものを受け容れる心の静けさと 変えられるものを変える勇気と その両者を見分ける英知をお与えください(ラインホールド・ニーバーの祈り)」という言葉の「勇気」という部分に私は大きく丸印を付けました。
この言葉は今、常に私の心の中に刻まれている言葉の一つです。メンタルの講座を受講していく内に、私は「すべてのことは必然ということは、あの時は私はまだ会社を辞める時期ではなかったのかもしれない。」と思うようになり、「今、変えられることは何か。少しずつ変えていけるところを変えることが大切なのかもしれない」と思い、色々なことを会社で試してみようと考えました。私は、管理職なので、年に何回か部下と面談する機会があり、今までは自分が一方的にアドバイスや注意事項を伝える事が多かったが、まずは「最近どんな感じ?」や「何か困ったことはある?」等で部下の話をとにかく聞く様に心がけた。
すると、人間関係で困っていたり、業務量の多さで困っていたり、普段は聞けない部下の声を聞くことができたんです。
その中で、改善できそうな部分は改善し、何度も同じミスが起こる時は、「ミスを起こさないように注意する」という抽象的なことではなく、システムを変更し、ミスが起こらないように効果が確実にでる工夫をすることが出来ました。また、部下に注意をするときは、出来るだけ講座で習ったIメッセージ(自分自身の気持ちを素直に伝えるメッセージ)を使うように心がけ、常に自分の仕事に対する考えを明確にし、部下とコミュニケーションを取るように心掛けました。
部下に対して腹が立つことがあった時には、「私が一人で苛立っているな」と思うと少し気持ちも落ち着き、以前よりは冷静に対処することができるようになってきました。ただ、私はついつい転ばぬ先の杖を出してしまい、部下の失敗する機会を奪ってしまっているのではないかと思うことがあるので、予防のIメッセージを使いつつ、出来るだけ任せる部分を多く作っていくことが必要だなと感じ、少しずつ実行しています。さらに、今までは管理職ということで、学生への相談業務等は各担当に任せていましたが、それでは、せっかくのキャリアカウンセラーの資格取得の際に学んだ事や、今メンタルで学んでいる事が活かせないと思い、私からも学生に声をかけ、悩んでいる学生の相談やアドバイスを積極的に行うよう心がけています。先日も、学生が試験勉強で「ブレーンストーミング」の話をしていたので、「ブレーンストーミングってやったことある?」と声をかけてみたら、「ないです。」とみんなが言ったので「じゃあ今からやってみる?」と聞くと「やるやる!」ということで、メンタルの講座で習ったようにみんなでやってみました。
学生が「これでブレーンストーミングは絶対忘れないわ!」と口々に言っていたので、自分が習ったことが少し役立ったような気がして本当に嬉しかったです。まだまだ色々な面で不十分ですが、少しずつでも確実に職場環境を良くしていくことが、今の私の役割であると感じています。もう一つ私が「ビクッ」としたのは、森田療法にある「あるがまま」という言葉を聞いた時でした。私は二人姉妹の長女で、母親はいつも姉の私に厳しく、妹と喧嘩をした時も明らかに妹が悪い場合も「お姉ちゃんだから」という理由でいつも私が叱られていました。
母親に褒められた覚えがあまり無く、両親が留守の際に家事を頑張っても、出来ていない部分を叱られ、「何で頑張ったのに褒めてくれへんの」とよく泣いていたのを思い出します。
いつも「妹ばっかり甘やかして」という気持ちが強く、小学校6年生の卒業文集の自分の短所を書く欄に「ひがみっぽい」と自分で書く位ひがみが強く、頻繁に母親と喧嘩が絶えませんでした。
常に「お姉ちゃんだからしっかりしなさい」と育てられ、甘えるということが出来ずに育ったように思います。そのような環境で育ったからか、私は、初対面の方から必ず「しっかりしていそう」「落ち着いている感じ」等や何故か「お酒が強そう」と言われる事が多いんです。
それ自体は決して悪いことでは無いけれど、私にとっては「それって恐そうってことかな。冷たそうってことか。」と思ってしまいそれが嫌で、柔らかい印象の方や可愛らしい印象の方を見てはうらやましいなと思っていました。また、何故か「このままではいけない。」という気持ちがいつも強いにも関わらず、その反面変わることに対する不安も強くあり、知人のカウンセラーからのアドバイスに対しても「でも~、どうせ~、だって~」という、名づけて「3D」の言葉をよく使い、変わらないことへの言い訳をしていました。体験講座のエコグラムでもCP度(厳しい私)とAC度(良い子の私)が高く、その時の私は、仕事での私が染み付いていたからか、育った環境からか、「ねばならない」「すべきだ」「常識だ」という言葉を使うことが多い、いわゆる厳しい人であり、その反面良い子でいなくてはという気持ちも強く、そんな堅苦しい自分があまり好きではありませんでした。その状態の中「あるがまま」という言葉を聞き、頭の中で「あるがまま」が何回も駆け巡り、「あるがまま。あるがままか。そうそう!今の私は私としての『あるがまま』をまずは私自身が受け容れることが大切」と何だか心にストンと何かが落ちた気がしました。後編講座の森田療法で習った「心ゆたかに生きる8つの法則」は今までがほとんどその逆の生き方をしてしまっていただけあって、どの法則も心に響くものでした。今この瞬間ここに生きる。悪い想像はやめて現実に人生を見つめ、行動していく。少しずつではあるが、出来るところから、行動に移していくように心がけています。ちょうどその頃にHPの「えとうのひとりごと」の「I Love me!」を読み、私は読みながら涙がポロポロ出てきて、涙を拭きながら何度も何度も読みました。
一つ一つの言葉が心に沁みてきて、心が洗われるような気持ちになりました。
「私は私の身体に見守られている。」今までそんな風に考えたこともなかったので、じっと手を見ながら、「そうやんなぁ。いつも私のために頑張ってくれているよね。」特に私は左手を何度が手術しているので、「あの痛い手術にも無事耐えて、何とか右手に追いつくべくリハビリをし、頑張ってくれたよね。
無事動けることが分かったときは涙を流して喜んだのに、その気持ちも忘れていたよね。ごめんね。」と初めて自分の手に語りかけました。自分の「あるがまま」を愛する。
毎日自分で自分をヨシヨシする。
私は自分で自分の頭をヨシヨシし、「今日も頑張ったぞ!」と自分で自分を褒めてあげました。
私は今まで、同じ本や文章を読んで何度も泣くことは無かったんですが、「I Love me!」は読むたびに涙が出てしまい、そのたびに心が洗われて、少しずつ自分の「あるがまま」を愛せるようになってきていると感じています。私にとっての最終講座はテストセラピーでした。
バウムテストで木の絵を描いた時に、私は1本だけだったら何故か寂しく思い、両サイドに1本ずつ木を描き、合計3本の木を描き、それぞれの木に桃の実を描きました。
食事会の時に先生に私の絵を見て頂き、「3本あるということは、自分の中に色々な自分がいて、その自分を認めてあげられたら、良いと思うよ。あと実が枝に付いていなくて、浮いている状態だから、夢はあるけれども、具体的な夢としてまだ出てきていない状態かな。」という内容のアドバイスを頂いて、それを聞いて、妙に納得しました。
自分の絵に、自分の状態がはっきり出るんだなということが良くわかりました。この講義の中で、先生が「学ぶことによって必ず人は変わることができます。だからどうか学び続けて下さい。」と言われた。
この言葉を聞いて私は大変勇気付けられました。
メンタルの講座を通じて、変わることに対して臆病だった私が少しずつ変わりつつあるような気がしています。
まだまだ学びの途中で、時としてこれまでの思考の癖が出てくることがありますが、それも自分の一部であると考え、それもひっくるめて愛することができれば素晴らしいことではないかと思っています。「すべてのことが必然だったな。」と本当に思える日が来るまで、一日一日を感謝の気持ちで過ごし、自分が出来ることから行動していき、学びを深めながら、少しずつでも確実に変わっていけたら良いなと思っています。