受講生の感想レポート

大阪校基礎コース修了 多賀哲さん 29歳

友人や上司との関係を変えた「聴くこと」の大切さ

友人や上司との関係を変えた「聴くこと」の大切さ大阪校  多賀 哲さん(29歳 男性)
私は自分に自信がありませんでした…一言で言ってしまうとあまりに簡単ですが、三年前に事故で父を失ったことがきっかけで、職も失い、アルバイトでも失敗ばかり、人間関係もどこか空回りしてしまい「他人も自分も信用できない」そんな考え方が染みついて抜け出せない生活を二年近く続けました。父は毎年お盆休みには友人と一緒に北海道へバイク旅行へ行くのが決まりとなっていました。
事故はその時に起こってしまったのです。
その年は友人の集まりも悪かったようで、父と父の親友と二人で旅行に出ました。
父は何かを感じていたのか、いつもは撮らない出発時の写真をどうしてもと頼んだそうです。
フェリーで北海道へ向かい、一週間近く北海道各地を巡り、またフェリーで帰宅というコースでした。
北海道を堪能した最後の日、フェリー乗り場まであと少し、残り数キロのところで父は帰らぬ人となりました。当時、私は徳島県で初めての社会人生活を送っていて、社会にもまれながら毎日を過ごしていました。
そんな時、父の事故の知らせを受け、急いで車を滋賀の実家へ走らせました。
涙で前が見えなくなる中、必死に落ち着こうとしている自分がいました。
実家に着くと、もうすでに親戚が集まっていて現地の警察からの連絡をまっている状態でした。
そこにはいつもの笑顔はありませんでした。翌日私は北海道へ向かいました。
警察署へ着くと加害者側の家族が待機しており、厚みのある封筒を差し出されました。
中身は容易に察しがつきました。
父にも会っていない、正直まだ実感もない、もしかしたら生きているんじゃないか?という私の希望は打ち消されました。
聞けば加害者のかたは会社経営者で、社員をねぎらうために振る舞ったお酒で事故を起こしてしまったそうです。父は亡くなる数年前に弟を亡くしました。
叔父は奥さんに先立たれていた為、そこの子供達は身寄りがなくなりました。
父は「兄弟は一緒にいるもんや」と言い、私たち四人の兄弟に加え、叔父の三人の子供達を加えた家族の大黒柱でした。
家族を大切に思って生きてきたはずの父の命が、一瞬にして奪われました。
何が正しくて、何が間違っているのか本当にわからなくなりました。火葬を北海道ですませ、父を滋賀の家に連れて帰りました。
「最後のとおちゃんのぬくもりやで。」と母がまだ温かい遺骨の入った箱を僕に手渡しました。
父がいなくなり、今までの生活が送れなくなったとき、改めて父という存在の大きさを感じました。
叔父の三人の子供達も別の親戚の家で暮らすことになり、私は会社を辞め実家に戻りました。実家から通える場所でアルバイトを始めましたが、父の死を引きずっていた私は集中力が続かずミスが続きました。
自分が本当に無意味な存在のように感じていました。それからです。
以前から紹介されていた日本メンタルヘルス協会に「行ってってみようかな?」という気持ちから「よし行こう!」という気持ちに変わりました。受講を始め、まず自分自身を振り返ることができました。
私は相手との距離をとるのが下手でした。
何を言われても「どこかに意味があるだろう」と必死になって意味を探していました。
他愛ない日常会話や、それこそ冗談でさえ「100%受け入れなくてはならない」という、行き過ぎた考え方になっていたんだと思います。
その結果、否定的に受け取ってしまうことが多く、必死に反論していました。
そんな私は子供っぽく、皮肉屋にうつっていたと思います。
「子供やな」と言われることも少なくはありませんでした。しかし、講座の中で「行動の四角形(相手の行動を受容できる領域と受容できない領域の仕組み)」や「母子一体感(子どもがお母さんは自分のことを言わなくても分かってくれる、自分の思い通りに動いてくれるはずと期待してしまう、甘えや依存心のこと)」を学び、今まで必死になって反論していた理由がわかりました。
自分も相手も同じ存在、同じように考えているに違いない、という「母子一体感」が根本にあったのです。
違うものを受け入れようとするから無理が出て、反論してしまう。
そして当然のように相手にもそれを押し付けていました。
攻撃的・破壊的なコミュミケーションでは変化はないどころか、悪化するのは目に見えていた結果だったと感じました。そして、自分と相手との間に一本線を引けるようになってから、私の中で張り詰めていたものが解けていきました。
相手の話を余裕をもって聴けるようになりました。以前は友人から悩みを相談された時、自分の経験を話し、解決してあげようとしていました。
しかし、講座でこれが最もやってはいけない「相手の宿題を奪う行為」だったのだと学んだときには言葉もないほどショックでした。こうした体験を経て、聴くことを意識するようになってから、友人に「なんか変わったな」って言われるようになりました。
会社内でも心理学を学ぶことに対し以前は「金をドブに捨てるのか?」と言っていた上司が「かしこくなってきてや」と言ってくれるようになりました。
また、可能ならば忙しい時期も講座に通い続けたいと希望を伝えた時にも「君の成長のためなら仕方ないな」と言ってもらえるようになりました。
本当に嬉しかったです。こうして、何度も受講を繰り返し、本当の自分を発見し、深い学びを得て、少しずつですが成長していこうと思っています。基礎コース前編の講座で「感謝のIメッセージ(自分の気持ちを素直に伝えるメッセージ)を伝える」のワークをしました。
同じテーブルだった女性が、涙ながらに母親への感謝のIメッセージを発表してくれました。
恥ずかしくて素直に言えないと思っていましたが、その女性のメッセージを聴いて自然と話しはじめていました。メンタルに来る動機にもなった父の話をしたのですが、話し始めてから終わるまでずっと号泣してしまい、言葉にならない発表になってしまいました。
それでも同じテーブルの皆さんからは「気持ちが伝わってきたよ」「お父さんも聞いてくれてるといいね」と声をかけていただきました。
気持ちがとても楽になったのを覚えています。私にとってメンタルの講座は学ぶだけではなく、セルフカウンセリングにもなりました。これまでの私は自らの傷を隠すために厚着をして、周りに悟られないように重たい鎧を身に付けた状態だったのだと思います。
それでも不安で盾を持ち、さらに剣で相手を傷つけることで自分を守った気になっていたのだと思います。
自ら周りに理解してもらいにくい環境を作り出していたのです。この事に気付いた時、「本当の強さは自分の弱みさえもさらけ出せる勇気かもしれない」と強く思いました。その後、講座後の食事会で衛藤先生と少し話せる機会がありました。
終電が近かったので短い時間でしたが、「口にだすことで思いが解放されていくこともあるよね」という先生の言葉に、とても元気をいただきました。また、私は双子の弟として生まれ、兄とくらべて勉強ができなかったのでいつも比較され続け劣等感でいっぱいでした。
でも、同じ環境(双子)でも、劣等感を抱いていない人に出会い、「全ては自分の受け取り方だったんだなぁ」と思えました。
そして双子のお子さんを持つ方の「子供に点数なんてつけれないよ」という言葉が母からの言葉のように思えました。
こういう出会いにより、私の中にあった劣等感はほとんどなくなったように思います。受講を始めてからの3カ月間、日本メンタルヘルス協会で学んできましたが、初めて受ける講座はどれも新鮮で、時には胸に突き刺さるものも少なくありませんでした。
先生が例題として話される事が自分にも当てはまる事だった時は苦しい思いもしました。
でも、自分を見つめなおす時間・チャンスができたと思い、学びにつなげました。
そして周囲に対して関心をよせているようで、積極的にかかわろうとしない無関心な自分も発見できました。
Iメッセージを含め、自分の考えを口に出すことの重要性も学びました。講座を通して様々な考え方、技法を学んできましたが、スタートラインに立っただけなんだなという気持ちでいます。
これまでの人生を振り返り、スタートラインに立てたことに喜びも感じています。
そして、それ以上にもっと深く学びたいという思いが強まっています。「学び」を与えてくれた、日本メンタルヘルス協会に、紹介者に、そして出会えた人たちに感謝しています。

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