高貴なる人びと…
2019/04/21
フランス語にノブレス•オブリージュと言う言葉があります。
これは「高貴な人の義務」と言います。これは立場の高い人には、はたすべき義務があるという意味です。
生活に豊かな人は、貧しい人々を支える義務があるのです。
アメリカも高級なお店であればあるほどチップが高くなるのは当然です。
アメリカでも、チープな庶民の店ではチップがないところもあります。そんな庶民の店で100円の商品を買うのに1000円を支払って「釣りはチップだ」(エ~9割チップ)と言う人は紳士です。
また、ロックフェラーもカーネギーも成功したお金持ちは福祉財団を持っています。
アメリカでは、お金持ちが引退して社会福祉に力を入れるのは当然のこととみなされています。
だから、セレブなハリウッド•スターが恵まれない子供を引き取って自分の子供として育てるのも当然なことなのです。ただ、引き取った子供に贅沢の限りをつくすのはどうかとは思いますが…
インドでは同じ商品を同じ店で買っても、金持ちは高く買わされ、貧乏人は安く買えるそうです。それでも誰も文句は言わないそうです。インドに詳しいひろさちや氏は、それが、高貴な人々にとってはステータスだからだと言います。
だから、貴族はグリーン車に乗る必要があるのです。貴族が普通車に乗ると、普通車が混んで庶民が迷惑をしてしまいます。だから、貴族はグリーン車に乗る「義務」があるのです。
グリーン車がたとえ満員でも、たとえ普通車がガラガラでも、貴族はグリーン車の中で立っていないといけないのです。それは、日本の武士道にも通じるところがあります。
「武士は食わねど高楊枝」武士のような位が高い立場の人間は、たとえ食べれない状態でも、義を重んじて、ズルや悪をしないで、お腹がいっぱいであるように大らかに楊枝を加えて、優雅に過ごさなければならない…
というノブレス・オブリージュ高貴な人々の義務です。
これは全世界共通の通念なのです。
ですから、グリーン車に乗れば静粛にする「義務」があります。高いお金を出しているのだから大騒ぎしていいんだと義務を果たさない人々を「成金根性」とバカにされます。
今の成金根性の日本では、考えられないかも知れませんが、高いお金を出せる立場の人がたくさんの「義務」を払わされる。それが、世界の常識だったのです。
今の日本の人々は、9割の人が中流意識をもっています。これは日本は豊かな国家と言うことになります。
日本では多くの人が朝、昼、晩と三食を食べます。食べれないで餓死する事件は特別なことを除いては皆無です。また、子供を口減らしで捨てられるという悲しい出来事はありません。
ですから「不景気だ、不景気だ」と言っても日本は豊かな国家です。いや、本当の貧しさを現代人は知らないのです。
その豊かさを維持するために日本国家は毎年、借金を増やし続けています。
それを今すぐにも減らさなければならないのです。それは子供達にのしかかってきます。
インディアンは七世代先の子供たちが幸せになるために「今」を生きています。「今が良ければ」という生き方は、インディアンにはありません。
日本社会は未来の子供達よりも、今の贅沢な暮らしが大切なのでしょうか…⁈
今、日本は消費税問題で揺れています。多くの人々が中流意識を持ちながら将来の子供や、日本の国の安定のためにお金を支払うという議論になると多くの人が抵抗感をあらわにします。
もちろん、今は景気が悪いからということもあるのでしょう。でも、この消費税の議論は、バブルの時代から議論されてきたのです。
では、どれ位豊かになれば、日本は将来の子供達のためにノブレス・オブリージュの高貴な人々の義務を果たすのでしょうか?
このままでは日本も、ギリシャやイタリアのように、国が国として立ち行かなくなります。
高貴な人々の行ないの一つに「ボランティア精神」があります。
しかし、真のボランティアと言うのは瞬発力ではダメなのです。
「その時は何かしなければと思ったのだけど…」と、一瞬の気分だけで終わって持続力のないことが、一番助けられる側の人々をガッカリさせてしまいます。
持続可能な援助の一つに消費税の問題があります。
モノを買えば、それはすなわち皆のために支払う予算になる。それは他人だけではなく自分の将来のためにもなるのです。
会社でも、個人でも、収入にかかる税金は節税対策で誤魔化せます。
だから、多くの人が節税対策をしています。テレビのワイドショーでは人気の内容は「節税」と「省エネ」と「財テク」だそうです。
ですから「いかに税金を安くするのか」というようなコメンテーターの節税対策の話題は人気番組になるのです。
これは「なるべく国のためにお金を払わないで済むか…」という話題をテレビ番組でしている不思議な国ニッポンの一つです。
これは僕自身のことを棚にあげて日本を責めているのではないのです。
誰もが節税を考えてしまいます。僕だってそうです…
そのように弱い僕のような自我を持った存在の人々に対して「どうぞ、みんなのために僕の弱い自我から未来の子供達のために徴収して下さい。」が消費税なのです。
そう誰の目にも見える形で、誤魔化しが効かないシステムが消費税です。
お酒に、タバコにと、特別な人だけに課金されるのではなく、誰もがモノをたくさん買えば課金される未来の貯金が消費税なのです。だから、消費税は平等な税金であるという見解は国際社会では常識なのです。
日本はその常識が延々に決まらない。
世界を見れば中国は17%韓国10%とフィリピンは12%と、決して日本の5%は高くないのです。
デンマーク、スウェーデン、ノルウェーの福祉国家は25%です。だから福祉大国の彼らは老後が保証されていいます。
みんなで消費税を支払う代わりに「高齢者になっても安心して過ごせる未来の財源を確保してくれ‼」と国に約束させる必要があるのです。
その約束を果たすためには、安定した政府です。
今のように政権がコロコロ代わると国家運営が不安定になります。
安定した社会と未来の構築が子供達のためにも急がれます。
そのための未来財源の確保として消費税のようなシステムが必要なのです。
消費税と名前が悪いのなら「高貴な人の愛情税」に名前を変えてはどうなんだろうか
そして、金持ちはドンドン消費すれば良いのです。そして、低所得の人にどんどん高貴なサービスをする。それが、ノブレス・オブリージュの精神です。
もちろん、消費税に反対している人たちも「お金を支払いたくない」ということではないのですよね。
多くの人々は、その前に「議員の高い収入を減らせ」とか「議員の数を減らせ」ということを求めているのです。
ただ、議員がクビを切られて、収入がなくなるとなると、それにつながる人々は、また、大騒ぎしてマスコミを動かします。
それで、また大衆は揺れて、政党が変わるだけで、何も政治も社会保障も進まないまま、また日本は変化のないまま漂流して沈没してしまいます。
もうすでに瀬戸際までも来ています。
だから、ああだ、こうだの議論の前に、未来の子供達のために、気持ちよくノブレス・オブリージュの精神でチップを差し出すのが、高貴な人々のカッコ良さだと思うのですが…
本当に日本も成熟した社会になることが大切ですね。