真なる愛と責任を考える時代…

   

 今まさにイスラエル軍とパレスチナ武装勢力ハマスが、激しい戦闘をして多くの民間人に被害が出ています。

   

 パレスチナ問題が世界の火薬庫になると言われています。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地が同じパレスチナのエルサレムという場所に重なって存在するからです。なぜなら彼らの宗教は、もともと兄弟です。同じ神を崇めています。

 では愛や幸せを目指すべき宗教が、なぜ真逆の殺人を犯してしまうのでしょうか?

 それは時代とともに「愛の経典」が、それぞれに分かれ、互いに解釈の違いで対立が生じるからです。だから覚醒者(目覚めた人)たちは、教えを書物に残すことをためらいました。そこから分派が生まれ、やがて対立が生じて戦いになることを感じていたのでしょう。だから、彼らは書物を残さなかったのです。

  

  

 その証拠に、古代ギリシャの哲学者ソクラテスは著作は残していません。弟子のプラトンの書物でソクラテスの哲学に触れることができます。キリスト教の新約聖書もイエスの著作ではなく、弟子の四人がイエスの教えを書き残したものです。仏教の開祖の釈尊も、釈尊が入滅(亡くなった)後に、弟子たちに語った教えを残したものがお経です。

 だから、お経の最初に「如是我聞…」(私はこのようにお釈迦様から聞きました…)と始まります。

 教えはそれぞれの解釈でゆがみが生じ、対立が愛と真逆なものに向かいます。人間は一度「自分が正しい」と信じたら、なかなか自分で変わろうとしません。結果、自分の信じた教えに反対する者に戦いを挑むのです。

 それは国境問題も同じです。韓国や中国と日本の間にも、ロシアと日本の間にも、それぞれの主義主張に対立があります。

  

  

 では「『命』と『考え』と、どちらが大切なのか?」と僕は小学生でもわかるような答えを、大人たちに聞いてみたいと思います。戦時中なら「思想だ」「国だ」と答えたでしょう。今、僕たちは時間を逆戻りしつつあります。

 僕たちは38億年前に海で「命」として生まれました。やがて進化の結果「思考」を持つ人類が生まれたのが、ほんの20万年前です。一年で換算すると12月31日の深夜の11時半過ぎに誕生したのが人類の祖先です。もし、あなたが38億円の資産家で、大切な仲間に20万円をご馳走するのにケチりますか?それくらいの歴史の長さです。ましてやキリスト教が生まれて2000年。これは2000円ですね。

 地球の歴史ではニューフェイスの僕たちの「思想」の違いから、今や地球の全生命を滅ぼすほどの兵器を人類は持っています。人類の真なる責任を考える重大な時代なのです。

   

   

 今回、岸田総理が「すべての当事者に自制心を求めます」と呼びかけたことがネット上で批判されています。「相手はテロリストだぞ!」「西側陣営の国の総理としてイスラエル側の味方だとハッキリと旗色を示せ!」「イスラエルは国家主権を踏みにじられたのだ!当然の戦いだ!」と皆さんが怒っています。もちろんテロや人質を取るのには許されざる行為です。

 でも、戦いで被害を受けるのは、いつの時代も罪なき民衆の命です。多くの被害が双方に出ています。だから関係者に「自制」を呼びかけた岸田総理の発言は僕は悪くないと思っています。

 どうか「怒りのエネルギー」が早く落ち着きますように。

   

                  

 マザーテレサが「愛の反対は憎しみと思うかもしれませんが、実は無関心なのです」という言葉が今、僕の胸に突き刺さります。

     


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心理カウンセラー衛藤信之
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