相手の立場になることが…

      2019/04/21

 サービス精神、どこのビジネスでも、どんな会社でもサービスに力をいれています。

 でも、サービスにも違いがあります。

 ある地域の講演会の企画スタッフで、すごく接待がステキな人がいます。

 彼は、いつも飛行場でも、駅でも、到着すると、出口で僕を迎えてくれます。

 そして、開口一番に

 「先生が、もし疲れているようでしたら、ホテルにお送りしてゆっくりしてもらいましょう。もしも、すこし食事をしたいのなら、洋食はここが一番で、和食ならば、ここが最高です。もし、ノドが渇いておられて、少し飲み物で潤したいなら、この駅の構内にとても感じの良い落ち着いたお店があります」とパーフェクトです。

 ある企業の人事の人は、開口一番に「研修会の前に、軽く食事をしましょう」と言って、

 「どこのお店に行きましょうか?」と迷いながら案内され、あげく目当てのお店が定休日で、その結果「ここの店にしましょうか」と、その隣のお店に行き当たりばったりに入ったこともあります。

 もちろん、こちらは案内される側ですから、何でも感謝すべきなのですが、長い移動時間を使って到着する僕としては「ならば一人にしていただけますか…」と願いたくなることがあります。

 前者と後者の違いがわかりますか?

 どちらも、サービス心なのです。

 前者の人は、遠くの移動で疲れた僕に対して、考えさせたり、迷わせたりさせず「では、そこに」と僕がチョイスするだけで良いのです。

 後者の人は、案内人が迷って、悩んでいるだけではなく、案内される側の人も悩ませてしまっています。

 僕は、前者の接待のプロに、その素晴らしさの秘密を聞きました。

 彼は、まず講師のプロフィールを調べ、著書を読み、その講師の趣味趣向を調べるそうです。

 そして、待ち合わせ場所には一時間半前に到着して、ネットで事前調査をしたお店に足を運んで、お店のロケーションとオススメを調べるそうです叫び

 彼は「仕事が、とてもできるのですよ」と上司からも高い評価をもらっています。

 さて恋人からダメだしされる男性も、彼ほどのマメさがあれば、モテモテになることは間違いなしです。

 これは、相手の立場になって考える想像力が必要です。

 もし、その想像力がないと自分に自信がないのなら、ステキなデキる人を、真似ると良いのです。

 メンタルの博多校の受講生である、白戸三四郎さんの最近出版した本に、こんなエピソードが載っていました。

 スポーツジムに見学に行った時に、あるスポーツジムは駅に近く、金額がリーズナブルでした…

 まず、来場者用のアンケートへの記入を求められ、個人情報の他、「このジムを何で知ったのか?」「ジムに通おうと思ったきっかけ?」などを軽く聞かれ、そして施設の案内をされたそうです。

 「こちらが、トレーニングルームです。ウエイトが10台、バイクが10台、専門のトレーニングが巡回しているので、ご不明な点は何なりとお聞きください」

 「こちらが、エクササイズルームです。さまざまなメニューがありますが事前予約が必要です。汗を流したい人にはピッタリです」

 「こちらが、プールです。冬でも温水なので一年中泳げます」

 「こちらがショップです。サプリメントから水着まで何でも揃います」

 見学が終わり「いかがなさいますか?」と急激なクロージング。

 白戸さんが「はい。検討します」と言うと「現在、入会キャンペーンをやっています。今月末までやっているので、お早めにご検討ください」とパンフレットを手渡したのだそうです。

 あるジムは、駅からやや遠く、施設も小さいジムです。

 最初のジムと同じようにアンケートを記入しました。

 するとすぐに施設を案内されずにアンケートをしばらく読んだ担当者が「白戸さん、アンケートに体力をつけたいとありますが、差し支えがなければ、白戸さんが、ジムに通おうと思われた具体的な理由をお聞きしてもいいでしょうか?」

 「週末にテニスをやっていましてね。近々大きな大会があるので、それに向けて体力をつけたくて」

 「なるほど、テニスの大会に勝ち残ることが目的なのですね。私はテニスをしたことがないのですが、テニスに必要な筋肉って、どこを鍛えればいいのですか?」

 「えーっと、腹筋と背筋でしょうかねぇ。身体の軸ですから。後は足腰かなぁ。あっ、もちろん心肺機能もなんですけど」と白戸さんは自分で話しながら、自分で何を鍛えるべきかの発見があったそうです。

 「なるほど、腹筋と背筋が大切なのですね。白戸さんは腹筋と背筋はご自宅でトレーニングできないですか?」と聞かれて彼は焦ったそうです。

 「いやぁ。それが家だと誘惑が多いというか、なかなか長続きがしないのです。また、家が狭いから妻に叱られるんですよ」と語りながらジムに通うしかないと気分になってゆく。

 「そうでしたか。ところで、その大会は、いつ頃にあるのですか?」

 「三ヶ月後です」

 「けっこう時間がありそうで短いですね。大会までに、どうなっていたら満足ですか?」

 まだまだ三ヶ月も先だ。と考えていた白戸さんは、もうトレーニングをスタートしなければと思ったそうです。

 「せめて、今の年齢よりも五歳くらいマイナスの体力になりたいですね」

 「白戸さんの体力の測定結果は、今までにスポーツをされていたので、すでにマイナス五歳はクリアされています! 今から、ご自分の現在の体力を調べてから目標を一緒に決めませんか?」

 「なるほど、それもそうですね」

 「後、白戸さんは、週に何回くらいこちらに来れそうですか?」

 「そうですね、ガンバって週に二回くらい来たいのですが…」

 「そうすると、3ヶ月後までに24回は来られる計算ですね。じゃあ、20回で目標体力になるようなプログラムを組むサービスがあったら利用されますか?食事のアドバイスもできますので…」

 この後、どうすれば目標に到達するかを話し合った末、彼はその前に見学に行った数件のジムでは、すぐに契約はしなかったのに、このジムでは即、申し込み用紙に記入したそうです。

 =「銀行員のためのセールスコミニケーション入門(同文館)」より抜粋=


 これも、自分の都合のセールスではなく、相手の立場になった心のサービスが、営業のプロをも動かすのですね。

 自分本位の押し付けのサービスではなく、相手の立場になって、どうすれば相手が満足するかをイメージすることが、サービスの原点なのですねひらめき電球





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