潔癖社会に思うこと…
2024/04/02
英語で「Sterilization」という言葉があります。
これは「殺菌、滅菌、消毒」の意味です。
今は何でも「黒ずみ」や「汚れ」は排除する時代。
コロナ禍から「除菌」という漢字を見ない日はありません。これは殺菌という具体的なことだけではありません。社会でも、この除菌は行われています。言うなれば「コンプライアンス(法令遵守)」という言葉に代表されるように規則を意識して守ることです。でも現代は、除菌よりも殺菌で「後から誰かに何を言われるか分からないなら、叩かれそうなことはすべて排除する」という風潮が社会に吹き荒れています。
映画でもテレビでも「コンプライアンス」の問題で、もう観ることができなくなったコンテンツが数多く存在します。
法令遵守の波は、旧ジャニーズ問題、宝塚歌劇のイジメ問題、吉本の闇営業からエージェント契約になり、今話題になっている松本人志さんの文春砲へと続いています。
一つ一つは、とても話し合いが必要な問題定義で、とても大切なことです。それら個々に何も文句を言うつもりはありません。ただ、僕は心理カウンセラーという立場から社会全体を引いて観るという癖があります。
現代は、誰もが目立つ何かを攻撃し「なるべく目立たないことが安全だ」という風潮が世の中に充満している気がします。若者は立場が上に行く昇進を嫌がり、何か新しいことにチャレンジするよりも、安全で「平穏無事」な生活を求める傾向にあります。
「平穏の中に足るを知る」ことも時には大切な考えです。ただ社会の「エネルギー」を考えれば、下から上を目指し、波が上下するからこそ経済は、その落差で動くのです。ある種の博打的な経済が新しい革新(イノベーション)を生み出しチャレンジ精神が育んでいました。
それが過去には日本の原動力だったのも事実です。
以前に仕事でタクシーに乗った時に、運転手が「神楽坂のここはね。以前は対面通行だったが、田中角栄が、目白御殿(自宅)から愛人の料亭に向かう時には、向かう方向が一方通行になって、自宅への帰る時間には都合に合わせて、一歩通行の向きが逆に変わるんだよ」と笑って話してくれました。
僕は「そんな時代があったのですか!」と目を白黒させた記憶があります。真偽のほどはわからないし、都市伝説の類のものかもしれません。でも、あっても不思議のない時代の熱さが高度経済成長時代でもあったのです。
日本は何だか世界に比べて今は社会に元気がないと言われています。それは「皆でチェックしよう」という風潮が、粗探しで互いに牽制し合い、全体的に力を落としている可能性もあります。
悩める人の中でも、自分の一部を嫌って消毒しようとして “自分の心の全体まで殺菌”してしまうのが、うつ病の根本原因だと僕は思っています。
ちなみに、最初に述べた「Sterilization」という単語は「草木も生えない不毛の大地」や「不妊」という意味も隠れています。すべて無菌状態や滅菌からは文化も娯楽の発展も生まれないことを昔の人は知っていたのかもしれません。
先週のYouTubeのライブにて座右の銘を訊かれましたが、時間がなく答えられなくなったけど、僕はその時々で気になる言葉が変化します。
今は「清濁併せ呑む」とか「水清ければ魚棲まず」が気なる成句ですかね。
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心理カウンセラー衛藤信之
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