愛を得るために必要なこと
12月に入りました。
ネオンがキレイなシーズンです。ただ、どんなに夜景がキレイでも、誰と一緒にいるかでネオンの輝きは違ってくるものです。好きでもない人と過ごしていては、どんなステキな景色も早く帰りたいと思ってしまいます。
恋愛が上手くいかないという男女が相談に来ます。
「恋愛しても同じ失敗をくり返し、気がつけば同じような後味の悪さを味わっています」心理カウンセラーから言わせてもらうと、恋愛が成立しないのは、出会いの数でも、運の悪さでもないように思われます。
人は自分自身を知らないと同じようなパターンに落ち入ってしまいます。脳科学からすると、一度、強烈に開いた本は、気づいたら同じところのページが開かれるように、脳の「海馬(記憶)」に神経回路が出来あがり、それをくり返してしまいます。これを心理学では「人生脚本」と呼びます。
人は自分自身を知らないと同じような過ちを重ねてしまうものです。覚醒剤やアルコール中毒も同じ仕組みで人生脚本を悲しいかな、くり返すのです。また、逆に成功する人は「海馬(記憶)」に成功の神経のループが出来あがっているのです。
まずは自分の心を心理学を使って知る必要があります。心理カウンセラーは数々の心理テストを使いますが、メインの講座で使っている恋愛テストの質問を省略したバージョンを今回は紹介しましょう。
《恋愛心理テスト》 J・リー博士
●次に挙げる項目はあなたにどのくらいあてはまりますか?
「よくあてはまる(4点)」「少しあてはまる(3点)」「どちらとも言えない(2点)」「あまりあてはまらない(1点)」「まったくあてはまらない(0点)」とし、パターンごとに合計点を出してみてください。
これは授業で使う簡易版です。
①エロス 情熱的な恋愛
胸を焦がすロマンチックな恋に憧れています。王子さまとお姫さまのような恋愛に憧れる夢見るタイプ。いつか最高の相手が自分の前に現れると信じて疑いません。当然、一目惚れはこのタイプが多いのです。恋のためなら人生を全てかけても後悔しないとの思いから、周囲に反対されても燃え上がり突飛な行動に突っ走ります。家出、駆け落ち、計画性のない妊娠など。エロスは結婚後にストルジュ(友愛)に移行するか、ルダス(遊び)に移行するかで結婚生活の安定度は変わります。
②ルダス 遊びの恋愛
いつもドキドキする恋愛を求めます。いつも恋していたいタイプ。一人の人に執着するよりも多くの燃える恋愛を求めます。まわりから浮気症とか恋愛体質とか言われています。遊びスポットもよく知っているので楽しむこと、コミュニケーション能力にも問題がありません。もちろん自分自身の自由を一番に求めるので、マニアのように相手を支配することもしません。若くて独身の頃には、この恋愛も問題がありませんが、結婚してからも強烈にルダスの恋愛が残ると浮気、不倫に走って、結婚生活が長く続きません。
③マニア 嫉妬深い恋愛
独占欲が強く、非常に嫉妬深いのが特徴です。自分以外の異性とパートナーが話しているだけでも感情が揺れ動きます。相手の連絡がしばらく取れないだけで、食欲がなくなり、眠れなくなり身体に異常が出ることも多々あります。感情が激しく、恋愛の初期より終末期には相手を疑いがちになり、過激な行動や陰湿なストーカーになることもあります。やがてケンカが絶えなくなり、別れてからは「二度と会えない、会いたくない」と元恋人から言われてしまいます。
④プラグマ 実利的な恋愛
恋愛は自分のステータスを上げるための手段。常にハイスペックな恋人を求めています。権力や地位に対する憧れが強く「その優越性が自分を守ってくれる」と強く信じています。自分の基準を満たしてくれるかどうかを判断して恋愛するので、エロスのように燃えて周りが見えなくなることはありません。このタイプはパートナーの地位、名誉が下がると愛は終わります。
⑤ストルジュ 友愛的な恋愛
長い時間をかけて恋愛を育んでいく恋愛。ドキドキするよりも、その人の人間性を好きになる落ち着いた恋愛です。友情や仲間意識にとても近い感情を持った愛なので、激しい嫉妬や不安を感じにくい傾向にあります。ほのぼのとした関係を大切にするので浮気や離婚率も一番少ないタイプです。一番、結婚生活がおだやかで長続きするタイプ。
⑥アガペ 献身の恋愛
相手の幸せのために、自分の恋愛がうまくいかなくても身を引いて相手の幸せを祈る無償の愛。自己犠牲的な愛です。相手から見返りを求めないどころか、自分が愛されないことすら我慢ができます。逆に献身的なために、ダメ男に尽くしてしまったり、友人から心配されるような恋に落ちてしまうことも多々あります。幼い時に自分が献身的に親に尽くし、親が喜んでくれた青春期を過ごすと、自己献身と自己否定が人生脚本になる場合もあります。
また恋愛の初期には、アガペ(献身)のフリをする人もいますが、人間関係の土壇場ではメッキがハガレてしまいます。
完全調和のアガペは、イエス、ブッダ、マザーテレサ etc.と数は極めて少ないと言われています。老いて人生を達観した時に現れる傾向でもあるでしょう。
もちろん、これは誰もが①~⑥のそれぞれの恋愛のパターンを持っています。それを知ることで、冷静に自分をコントロールすることができるのです。
恋に落ちると人は、相手のことしか見えなくなります。この人こそ出逢うべき人だったと我を忘れて恋に落ちるのです。英語のecstasy は、日本語 では「忘我」と訳します。それくらいに恋は熱く燃え上がります。
まさにアバタもエクボの状態です。恋はイリュージョン(幻想)で始まり、デスイリュージョン(幻滅)で終わるのです。相手の魅力のエクボがアバタだったとわかっても(幻滅)、やはり相手が好きだと言えるのは恋ではなく愛だと言えるのではないでしょうか?
愛という字は、真ん中に(心)が入るから真心、恋という漢字は、字の下に(心)が来るから下心だと言われます。だから、私は「恋している」よりも、「愛している」ほうが強い感情を表しています。
ですから、恋は醒めますが、愛は醒めません。
この基準に照らすと、エロス、ルダス、マニアは恋です。エロスは熱しやすく冷めやすく、ルダスは結婚してマンネリ化すると浮気に走ってしまいます。マニアはどちらかの嫉妬でケンカが絶えないので相手が逃げ出すか、恋人に去られて当人は精神的に病む可能性が多々あります。
プラグマの恋は相手ではなく相手の社会的なステータスに恋しているので、相手は自分を高める道具のような存在になってしまっています。この場合、相手の老いや地位からの失脚にともない恋も完全に冷めてしまいます。
一番、落ち着いた熟成された夫婦になる可能性が高いのがストルジュの恋愛です。リー博士は、エロスから時間をかけ熟成されストルジュになる場合が多く、ストルジュの初期形態がエロスとも言われています。そのプロセスには、お互いの努力が必要です。
このように恋は燃え上がりますが、愛はお互いをやしない育て合うものです。それを育むのはコミュニケーション技術であり、そして自分のパターンをシッカリと知り、自分自身を獲得するのが心理技術です。
夫婦であれ、子育てであれ、自分自身がないとプラグマの恋愛のように、相手を自分の地位や名誉を高めるための道具、社会から認められるための代理戦争の戦士にしかねないのです。
恋愛の成功は、自分を知ることが一番の近道です。孤独を感じて夜のイルミネーションに一人涙するなら、自分を知る旅にこの冬旅立とう、心を知る旅へ!
では、どうすれば愛される自分になれるのかを、次回12月17日(火)にお伝えする予定です。乞うご期待!