幸福のお品書き…

   

 

 

 幸福度の有名な世界調査でダントツのトップだった人がいます。

 それは鉄道車両を組みたてる工場で働くジョーです。

 
 その工場内は、絶え間ない騒音のために話をまともに聞くことができない汚い格納庫でした。ジョーと同じ場所で働く多くの溶接工は、自分たちの仕事を嫌っており、仕事の終わる時間を待ち望んで、仕事が終るや否や近所の酒場に駆け込むか、もっとにぎやかな場所を求め州境までドライブに出かけた。

 その何百人を超える工員の中でジョーだけが、幸福度調査の数値がダントツに高くハイスコアーでした。

 

 

 このジョーは学歴は低く、工場の近くで妻と二人仲良く住んでいました。彼はクレーンからコンピューターに至るまで、工場の設備の全ての部品を把握して、何でも修理できるように独学で学んでいました。

 彼は動かなくなった機械のどこが悪いのかを見つけて、再び正常に戻すことに生きがいを感じていたのです。
 

 工員たちは、何か問題が起こった時にはジョーの助けを求め、多くの工員が笑顔で働くジョーが大好きでした。「ジョーがいなければ工場はすぐに閉鎖だ」と誰もが答えた。

 

  

 この幸福度調査は何年にもわたって続けられました。
 また大手企業の多くのCEOや大物政治家たちや、数十人のノーベル賞受賞者も、幸福指数ではジョーを上回る人は現れませんでした。

 どんな金持ちも、ズボンには一本の足しか通せないし、一度に飲み込める量は一口です。一度に聞ける音楽は一曲だけだし、一度に観れる映像も一つ。一度に話せる会話も一つだけなのです。人間の感覚には限界があります。

 この世で体験できる感覚の総量は決まっているのです。大切なことは、それらを味わいつくせる能力です。

  

  

 経済の幸福度では、アメリカの億万長者は平均的なアメリカ人の収入よりも、ほんのわずかしか幸福度は上回りませんでした。全米の平均収入は1960年代と2020年では3倍近くに増えています。

 でも「すごく幸福だ」という割合は30%から下がり続けています。よほどの貧困層でなければ、収入が増えても幸福の総量は増えないという結果です。日本よりもGDPが低いブータンのほうが幸福度が高いのもうなずけます。

 

 この幸福度調査によると、何かに挑戦する集団と、何も挑戦しない集団では、挑戦する群の幸福度が高くなり、イヤイヤよりも自主的が幸福度が高く、さらに一人でいる時よりも、ほかの人といる時のほうが、自分が社交的で元気であると感じて幸福度が上昇することも確認されています。

 内向的な人よりも外交的な人のほうが幸福度を感じやすいのです。内向的な性格の人は人生で損をします。これもトレーニングで変わります。

  

 

 また「笑顔」で幸福になることもわかっています。人も動物ですから「快」か「不快」に反応をします。蛇や虫を見た時、腐った臭い、暗闇、不機嫌な表情は、生命に危険をもたらすものなので警戒心や不愉快さを感じます。

 母親の笑顔に赤ちゃんは本能的に反応し大好きです。それは母親の笑顔が、命を守り世話をしてもらえる存在だと無意識に知っているからです。

  

  

 だから、笑顔のない人や表情筋のあまり動かない人に、誰もが警戒感や不快感を持ちやすいのです。ですから笑顔を作るだけでも人から好かれ、幸運のチャンスは上昇します。

 

この調査結果から、日々を幸せに感じない人は、どうぞ自分の日常の生活を振り返ってみませんか?

 

 


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心理カウンセラー衛藤信之
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