幸せの真ん中!

      2019/04/21

 幸せの真ん中は、実は見えない。

 ご主人が亡くなった奥様が、カウンセリングで「亡くなった主人のイビキが懐かしい。あんなに“うるさい”と思っていたのにね…今は寝室が静かでね…眠れないの(涙)

 …あのイビキがあったから安心して眠れていたの。イビキを録音しておけばよかった(泣き笑い)」としみじみと語った。

 奥様が亡くなった男性が「妻が亡くなって、今は僕が子供達に食事を作ります。作っては食べられ、洗っては汚され。妻はいつも消えてゆくような仕事の中で、僕たちを支えていたのですね。僕はそれに気づかなかったんですね…(涙)

 洗濯物を干していても涙が止まらなくなって…『天国の母さん、冬は、この物干し台の上は寒かったんだね。こんな北風が吹くんだ。それなのに、君は汚されることを分かっていながら、家族の洗濯物を干していたんだね…ありがとう…』先生、こんなに涙が出るのは僕はウツなんでしょうかね…」

 「そうではないですよ。誰だってそうです」と僕。

 僕たちは幸せのど真ん中では気づかないものです。

 魚は水から出て初めて水の存在を知るといいます。

 平和も戦争になって初めて、いかに平和な日常の一日が、素晴らしい日々だったかに気づくことになるのでしょう。

 大阪の受講生が言いました。授業が終わった後に…

 「その通りです。先生、息子が子供を連れて休みの日に帰省したんですわ。

 食事の時、孫が走り回るのですなぁ…(嬉)

 すると息子が孫を叱りつけます。『静かにしろ!』と、私は息子に言いました。『おい、走り回らせてやってくれ。お父ちゃんもお前たちが小さい頃、今のお前のようにお前たちを叱っていた。お父ちゃんはもっと、スゴかった。

 母さんに「おい、子供を柱にくくりつけておけ‼」ってな。

 でも、今は静かだぞ。食卓が…(しみじみ)…お前たちが、この家を出てから母さんと二人だ。二人きりの食事や。

 だから、懐かしくてなぁ…こうしてお前たちが幼かった頃の分身みたいなのが戻って来たみたいでなぁ…お前も楽しんだ方がいい。今を…

 いつかはお前たちも子供とサヨナラする。その時は、なんぼ望んでも、もう帰ってこんのや。こんなステキな食卓はな…』

 先生、僕も先生のところで勉強して、息子に心時間の有限性を語れるようになりました。親として、先輩として語れるようになったんですわ…(微笑)」


 僕がアメリカで受けた心理学の授業で「もし後三日しか命がなかったら…」で遺書を書けと言われました。

 だれも、金持ちになりたい、高級車に乗りたい、ビジネスで成功したいとは書かなかった。

 お母さんに産んでくれて「ありがとう」と伝える。

 今でも後悔している、ケンカ別れになった人へ「ゴメンなさい」と謝る。

 心に秘めたあの人に、愛を告白する。「ずっと、あなたが好きでした」と…もう、三日しかないなら愛されなくてもいい。伝えないと後悔しそう…と。

 その時のアメリカの先生が、発表を聞き終わって僕たち学生に言いました。

 「エクセレント!みなステキだ!ただ、一つだけ皆に質問したい!」


 「君たちは三日しか生きられなければ、それをするのに、なぜ時間がたっぷりあると思い込んでいると、それをしないの? 考えてみたまえ(笑)

 さぁ、今日の授業はここまで‼ フィニッシュ!」

 僕たちは教室から動けなくなった…




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