年の瀬に、心の決算書を!

      2019/04/21

 日本には内観療法という歴史ある心理療法があります。親鸞の「身しらべ」という修行から作られた自己探求の技術です。

 

 内観療法では「誰かの世話になったこと」「誰かにして返したこと」「誰かに迷惑をかけたこと」を一人静かに孤独になって、自分の誕生から現代までを、年代に区切ってふり返る時間を作る歴史のある心理療法の一つです。

 

 ある刑務所に入っていた受刑者が「自分は誰からも愛されなかった!」だから世界を憎んで、復讐する気持ちから犯罪をくり返していました。

 

 刑務官のススメで内観療法をやって受刑者が気づいたこと、それは、自分を捨てた母に会いに出かけた幼い頃の記憶

 

 その母は、もうすでに別の男性と暮らしていました。そのことから「自分自身は、やはり実母に捨てられたのだ」と恨みが残っていました。

 

 母の住む家を訪れた時に、実母が一緒に住んでいる男性に語ったセリフが、幼い彼をさらに傷つけました。

 「息子が来たから、面倒だから、お金をあげて追い返すよ!」と実母が、男にコインを見せ、自分の手のひらに握らせて追い返すようにして、後ろで戸を閉めました。彼の記憶は、それだけでした。彼は泣きながら帰った、悲しくて淋しい記憶

 

 ところが内観療法中に、彼も忘れていた記憶がよみがえって来たのです。

 

 母の家から泣きながら帰っている時に、そのコインの形状が変わっていたという忘れていた記憶。そのコインは、米つぶをノリ状にして数枚に重ねた細工されたコインでした。そのコインは一枚のように見えて、何枚か重ねていたのです。

 

 それを彼が、帰りの田んぼの水で洗って数枚のコインにしたという、消えていた記憶さらに、その米つぶのノリが硬くなっていたのは、息子が来た時のために、実母がずっと前から準備していた証拠だった。なぜなら、米つぶのノリが固まっていてコインを分けるのに、幼い頃の自分が苦労した淡い記憶。それは、母が貧乏な生活の中で、息子が自分の所に訪ねて来た時に、コインをたくさん息子に渡してあげたいとの思いで、時間をかけて母が細工した愛のコインだったのです。

 

 そして、一緒に暮らしている男性には、外側のコインを見せ、子どもには細工したコインをしっかりと握らせて、あわてて戸を閉めた母の姿でした。それは、自分を愛していなかったのではなく、自分は愛されていたことを示す忘れていた記憶だったのです。

 そして、冷たいと思っていた母は「子どもの来訪を願っていた、愛情多い人だったのだ」という確信に変わりました。

 

 また、母の家からの帰りに、泣いていた彼に「大丈夫か?坊や」と声をかけてくれた、優しい大人たちのこともそんな自分自身は、社会や周囲に、何もお返しをしていないということに気づき、彼は模範囚へと変身していきました。そして、彼はお返しをするために社会に復帰したのです。

 

 この年末を、皆さんは、どう過ごされますか?

 

 年末は、普段は落ち着きはらった師匠たちも、年末はあわただしく走りまわる日本の「師走」と違って、アメリカの修道院で生活をされた人のお話しでは、年末の三日間は、静かに一年を振り返る三日間だったそうです。第一日目は、一年間を反省する日、二日目は、一年間に、いただいた恵みを思い起こす感謝の日に、最後の三日目は、新しい年を、いかに与えて過ごすかと決意をして祈る日だったそうです。

 

 この修道院での「年の瀬」の過ごしかたは、忙しさの中に見失っていた「自分の内部」を知る機会になったのだ。と… 

 

 そして、この人は語ります。

 

 人はいつか、自分の「一生涯」にケリをつける日を迎えると。それは、年の瀬どころではありません。その大いなる人生にケリをつける瞬間に大切なことは「私たちが集めたものではなく、私たちが与えたものなのだ」と

 

  過去、愛されなかったという人にかぎって、周囲の人を、今、愛していない自分にはフォーカスしないものですね。暗い、くらいと不平を言うよりも、すすんで灯りをつけましょうよね。

 

 年の瀬は、商売人は棚卸し、在庫確認、集金とあわただしいです。後は、帳簿の売り方、買い方の締めもあるのかもしれません。だったら、心の貸借対照表を書いてみるといいかもしれません。

 

 この一年、心にお借りしたものと、心づかいをお返した量を

 

 え!借方が多いですか それは、心が負債でいっぱいで大赤字ですね。

 

 それでは、来年はシッカリとお返しして、人生の貸方を増やしましょうよ。

 

 もちろん、それは僕にも言えることです。

 

 今年もたくさんの優しい心から、お借りしたものが僕の心に積もっています。来年には、何とか、お返しをしたいと、はい💦考えております。きっと💦

 

 本当に、今年もたくさん、ありがとうございました💝

 

 

 

 

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