大衆操作社会!
2019/04/21
世界が勢いよく動いている。
その中で日本の政治だけが定まらない。それは、民主党の政治手腕が、ということよりも、日本のマスメディアに問題があるような気がします。
ある時には持上げ、持ち上げては落とす。火をつけては、消すマッチポンプのよう。
今回は、法人税の5%の引き下げで、雇用問題に刺激をと与党が動くと、一斉にマスコミは引き下げた分の財源はどうなるのかとマイナスに指摘して、また、支持率を落とそうとする。
何もしなければ、動きが遅いと叱り、、景気刺激のために見切り発車でスピーディーに動き出せば、マスコミはアラを探して与党を責め立てる。
選挙時には「政権交代するぞ」と、民主党をマスコミが持上げ、初めての政治運営で動きが遅いと、マスコミはその問題点を指摘し、現政党の支持率を下げてゆく。当然、イラだった国民は選挙で野党に流れ、ねじれ国会になったのは事実。
ねじれているから、なにも決られない。決められなければ、また、そこをマスメディアは指摘する。
僕は、どこかの政党に肩入れする訳ではないですが、ここ数年のマスメディアの「事あれ主義」には、目に余るものがあります。今の落ち着きのないマスメディア先導型の世論では、どこの政党政権を取っても、落ち着いて何も決められないような気がします。
アメリカにいた時に、勉強のためにアメリカの新聞を英語の教材に使いましたが、アメリカのクオリティーペーパーと言われる新聞は、同じ紙面の中に「正論」と「異論」が記者の名前付きで書かれていました。
だから、読んでいる人が、いろんな角度の立場で考えられるため、人々の意見は片寄らないですむ。
でも、日本のクオリティーペーパーと言われる新聞は、各社が同じ論調の意見を叫ぶ。当然、意見は同じになりやすい。
コロラド大学のキャンボス博士は、次のような実験を行いました。
1歳の幼い子供に、母親が離れたところから呼びかける。
でも、子供がヨチヨチ歩いているジュウタンは、途中で切れて下は大きくえぐられている。
その大きなえぐれの上には硬質ガラスのフタがされていて、子どもはその硬質ガラス上を歩くので落ちる事はない。
でも、子供は一旦、じゅうたんの切れ目で立ち止まり、下のえぐれた断崖を見て不安で動けなくなる。人間の本能です。
でも、向こうから母親が笑顔で「おいで、大丈夫だから」と呼びかけると、子供は自分が見た硬質ガラスの下の断崖の恐怖を無視して、母親の呼ぶ方に向かって硬質ガラスの上を歩き始めます。まるで、下に広がる断崖絶壁がなかったかのように。
でも、母親が、首をふってけわしい顔をすると、子供はじゅうたんの切れ目の断崖絶壁を見て動けなくなり、泣き出してしまう。
このように子供が自分の判断よりも、母親の表情を判断の基準にする。母親の表情を優先して、自分の動きを決めることを心理学では「母親参照機能(マターナル・リファレシング)」と呼びます。
現代、大衆の意見はマスメディアが言っていた事の焼き直しのような気がします。
どこかで聞いたことのあるような意見を街頭インタビューで語る人々。
今の政党ではダメだと怒りだす人々。
当然、支持率の低迷。そして、低迷した支持率では強い指導力を出せない与党。
そこでまた、マスメディアは指導力が無いと叩いて、さらに支持率は低迷する。
支持率の無い与党は何も抜本的な改革ができないまま、また、政党がくるくると変わるようになる。
やがて日本は、はげしい世界の動きについて行けないで、三流の国に落ちてゆく様な気がしてならない今日この頃です。