哀しみをチェンジさせる。
2019/04/21
残された者の悲しみは、誰にも代わることは出来ません。グリーフケア(悲しみのケア)にとって、最も有効な手段は「時間経過」です。時間薬とも言われます。
そんな折、東京校の受講生でもあり、読書療法学会会長の寺田真理子さんから「僕がいつも語っているような内容の絵本があるから」と本部に絵本のプレゼントが届きました。
必要なことは、必要な時に起こるのですね。
おじいちゃんが大好きな可愛い坊や(孫)に、おじいちゃんからのメッセージです。
おじいちゃんのために泣くのはいいが、泣き過ぎてはいけない。なぜなら、おじいちゃんは、お前の笑った顔が一番好きだったから…でも、時間はその傷みを薄れさせてくれるだろう…
とても孫を愛する祖父の愛が、残された者への優しい眼差しのようにダイレクトに伝わってくる優しい絵本です。
そして、先日は福岡校の卒業生で笑顔共和国大統領の福田純子さんと一緒に食事をしました。
純子さんは、一般的に死とは、暗い・悲しい・辛い・無など「陰」に捉えられがちですが、でも亡くなった日を死日ではなく、命日=命の日と呼びますよね。さらに「故人は生前はこのような生き方を…」と偲ばれるじゃないですか。生前、つまり生きる前と語られるのです。
また、旅立ちと言う言葉は死を陰にするには言葉が似合わないし、ましてや悲しく暗い所から誰かを親切にお迎えに来るのも納得がいきません。それも笑顔で、ですよ。
何よりも誕生日の「誕」とは「いつわり」という意味も持ちます。今ここがいつわりに生まれた所、そして、死の瞬間こそ命が与えられた命日になるのもヘンです。
純子さんは、この世界は、あの世に旅立つための滑走路かもと笑っていました。さすが笑顔の達人
フロイト派の心理学者のオットーランクもバーストラウマ(出生時外傷体験)といって生まれてくる時が、一番の心的トラウマだと言いました。
なぜなら、子宮の中では体温調節も栄養も、排泄も母体まかせで、静かな楽園なのです。
完璧な穏やかな世界に住んでいて十月十日(280日)で、追い出されるのですから、エデンの園を追われるように「そりゃあショックでしょうよ!」
子宮の世界では、誕生は子宮から胎児の姿がいなくなるのですから、失う状態です。まさに子宮の世界では「死」です。
でも、この世界では誕生なのです。
ですから、この世界の死も「どこかの誕生日」かもしれません。
大切な人を失うことは「彼方の世界」に旅立った時に、歓迎者がたくさん増える事だと考えると、少し楽しみになるかもしれません。
きっと、あちらの世界はいい所ですよ。
だって、今まで一度も帰ってきた人はいないのだから。