個性を楽しもう
2023/08/21
発達障害やグレーゾーンと言われる人に、どのような対応が必要ですか?
不登校にはどうすれば良いか? 老人の認知症には? うつ病の人には?
このように日々くる質問を書き出したら枚挙にいとまがないのが心理カウンセラーとしての僕の立場だ。うつ病でも気分が完全にふさぎ込む「うつ病」から、夏に野外のコンサート(フェス)に行っている時には元気で、会社に行こうとすると鬱ぎ込んで行けなくなる患者が現れると、新型うつ病(非定型うつ)という病名が増えていきます。
昔の北米の先住民(インディアン)には、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)という言葉はありませんでした。なぜなら、女子なのに男性の心を持ち、男性なのに女性の気持ちにアクセスできる存在と、神と交信できる(シャーマン的)存在だと位置付けられたからです。また、シャーマンも特別に崇められる存在ではなく個性の一部として認められていました。統合失調も、突然に意識が別次元にいく特別な存在として村では皆で世話をしました。「病」も「老い」も同じで一つの村では「ある者」として存在が平等に認められていました。
まして老いは「より世界や常識の枠を超えようとしている存在に変化しつつあるプロセスだと…「神に近づいている証拠なのだ」と…
現代は病いは病院に、老いは老人ホームに、LGBTは異常な性に、皆と同じスピードで発達しない人たちは発達障害にして「普通」から切り離されてしまっています。普通がとても狭い範囲なのです。
山に生息している草は「野草」と呼ばれ、畑のそばに群生していると「雑草」と言われてしまいます。でも、野草も雑草も同じものです。人間にとって迷惑なものは雑草と呼び、迷惑でない草だと呼び名が変わるのです。都合で分けるのが好きなのが現代の人間です。
大人になった一休禅師が、村の人たちに曲がりくねった松を指さして「この松を真っ直ぐに観ることができた人には褒美をあげよう」と言いました。
曲がりくねった松を真っ直ぐに見ようと、場所を変え、観る角度を変え、皆が真っ直ぐに見ようと苦労をしています。そのうちたまりかねた村人の一人が
「松は、曲がりくねっているのが松の木だ。真っ直ぐなんか見えるはずがねぇ」
と、ため息まじりに独り言を言いました。
すると一休はニコリと笑って「あなたが真っ直ぐに松を観た。あなたに褒美をあげよう」と言ってその人に褒美を渡したといいます。
曲がりくねった松は、曲がりくねったまま観ればよいのです。真っ直ぐ見ようとすることが、そもそも見方が歪んでいるのです。それを一休さんは教えたかったのでしょう。真っ直ぐな竹は竹で、曲がった松は松で、それが一番なのです。
僕は心理カウンセラーとして、子どもを個性として観る能力を失いたくはないと思っています。あなたも曲がりくねった人生を人生として楽しみませんか…
そんなに普通って大事なの?
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心理カウンセラー衛藤信之
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