今、心理学が求められる理由
2024/04/02
なぜ、今、心理学の教室が満席なのか？
ストレスに弱い人たちが増えています。いや世界のストレスが増大している可能性があります。昔はストレスの代表例は、地震・雷・火事・オヤジと言われていました。現代のストレスは、地震・戦争・コロナ・人間関係だと思っています。ですから「うつ病患者」が増加しています。
今回は「うつ病」になる理由を説明します。
人は何かショックなことが起こると何よりも「命」を守ることを優先します。原始時代から人間の防衛システムは現代と変わっていません。
僕たちは自分の意識の奥では、どんなことが起こっているのでしょうか？僕たちの意識下には、思考ではコントロールできない部分があります。それが【自律神経】です。これは僕たちの思考とは関係なく自動制御で動く神経です。命を守るために不眠不休で働いています。
ジャングルで仲間と歩いている時に、凶暴な獣に襲われた時（緊急事態）では、理性であれこれ考えている時間の余裕はありません。命だけは守らなくてはなりません。
この時には、理性ではコントロールできない【自律神経】が関与します。この自律神経には二つの神経があります。一つは戦う神経（交感神経）とリラックスさせる神経（副交感神経）があります。獣に襲撃されると交感神経にスイッチが入ります。
まずは瞳は獣の動きをしっかり見定めるために瞳孔が開きます。そして、獣からの一撃で血を吹き出さないために毛細血管には血液が流れにくくなります。だから恐怖にかられた人は顔面蒼白になるのです。さらに血液が飛び散らないためにも血液がドロドロに変化します。ただし必要なところには血液を流さないと筋肉も脳もスムーズに動けないので心臓の鼓動は激しくなり胸がドキドキします。
そして、消化する胃や腸はエネルギーを戦いにまわすために休止状態になり、ノドが乾き、胃が痛くなります。肩や首の筋肉は、獣の攻撃に備えたり威嚇するために緊張し硬くなります。そして、相手と戦う時に武器が滑ったり、獣の攻撃を手で防御するために手のひらには、ほのかに汗をかきます。
これが緊急事態に起こる【交感神経】のメカニズムです。やがて獣から難を逃れて助かると自律神経は【副交感神経】にスムーズに変わります。なぜなら、交感神経モードは短期決戦モードだからです。
でも、神経過敏な人は、この副交感神経へのスイッチに入れ替わらないのです。「また獣に襲われたらどうしよう」「ヤツがこの逃げた洞穴に飛び込んで来たらどうしよう」「こんなに疲れているのに戦えるわけがない」と【不安恐怖】に支配されます。もし仲間が獣によって命を失っていたら、自分だけが逃げたのだと【罪の意識】に襲われ自分に怒り涙を流すのです。やがて戦わないで仲間を置いて逃げた自分には生きている価値がないと【自信喪失】になります。
このように「もういいや。考えてもしょうがない」「なるようにしかならない」とすぐに気分を変えて、手放せる人は副交感神経のリラックスモードに入っていけるのですが、短期プログラムの交感神経の臨戦態勢モードが長期に続くと心が疲れ過ぎて「うつ病」になってしまいます。
うつ病の特徴は不安恐怖（未来に不安を感じる）、自責の念（自分は迷惑をかけて申し訳ない）、無力感（自分は何も出来ない）、急激な感情の変化（急に怒りがわいたり涙が出たり）、自暴自棄（愛する人に暴言を吐く、会社を辞める）、希死念慮（居場所がない。消えてしまいたい）
さらに副交感神経モードの心の平安が得られないので体調にも不具合が起こります。不眠、食欲不振、体重の変化、疲労感が取れない、注意力散漫、肩こり、冷え性、過敏性腸症候群（IBS）で腹痛や下痢、便秘を繰り返します。
いかがですか？ 人によってストレスは全然違います。恋人との別れであったり、離婚、身近な人の死であったり、入学、転職、職場の異動であったり、事故に遭遇したり、定年退職、子供の巣立ちのようなバーンアウト、コロナのような世界的なパンデミックであったり、地震など自然災害も直接であれ、間接的に映像で見せられ続けると、うつ病を引き起こす大きな要因となります。
では、どうすればストレス社会で強く生きられるのでしょうか、それは自分の中の心のメカニズムを知り、意図的にリラックスモード（副交感神経）に移行させる方法を知ることです。そのためには自分自身の心と身体を平安に保つ技術を学ぶことが大切です。それが強くしなやかに生き抜くための優先課題になります。それがメンタル【感動の心理学】とたくさんの心理セラピーの役割なのです。
だから、自分の心をコントロールすることが経済よりも天職を見つけるよりも、優先の時代になりつつあるのでしょう。
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心理カウンセラー衛藤信之
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