上司は弱さを出して良い。PartⅢ
2019/04/21
三回にかけて「弱さは強さだ」と語ってきた。
僕が昔読んだアメリカの実業家の本があった。
彼のお父さんは医者でした。でも、貧困層の人々ばかりを治療していた医者だったので、彼の幼い頃は貧困家庭で、生活費は治療費の代わりにいただく畑の野菜で食いつないでいる状態でした。
しかし、彼の家では笑いが絶えることがなく、楽しい幼少期だったと言います。
それは優しい母と、いつも「今日もいい日だ!」が合言葉の父の影響がとても大きかった。
彼の父はいつも、「大丈夫さ、なんとかなる」が口グセでした。家の前の大きな木が、大嵐で倒れそうな時にも「大丈夫さ!なんとかなる」と一人で木をロープでしばり支えた人でした。
その朝、陽の光の中で「大丈夫だっただろ。今日も、いい一日になる」と彼の父は笑った。
そんなある日、彼は夜中にトイレに起きた。
彼の父の部屋のドアが開いていた。彼はお父さんは本でも読んでいるのかと声をかけようとした。
でも、彼は声をかけることが出来ませんでした。なぜなら、彼の父が窓辺に頭をつけて、泣いていたから••••
彼は、あんな強く前向きな父が、泣くというには、きっとこの家に、なにか大変な事件があったのだろうと思って朝をむかえた。
朝、母親の朝食の支度にかかる音がキッチンから聞こえる。それは何事もない日常の平和な音だった。
昨日の父親の涙を見た、少年は恐る恐る階下の食卓に降りて行った。
すると、どうだろう父親がいつものように「よう、おチビさん、お早う!今日もいい一日になるぞ」といつもと同じように笑った。
やがて、彼は実業家への道を進んだ。そして、大成功者と言われるようになった。その成功までには、山あり谷ありのドラマが存在した。
もちろん、人に欺されて死にたくなるような夜もあった。でも、彼を支え続けたのは、机の引き出しの中にある笑顔の父の写真だったのです。
そして、彼は言う。
「僕は、あの夜の父の涙が忘れられない。今は亡くなった父が何に泣いていたのかは知るよしもないが、でも、家族を支える中で、眠れない夜も口惜しい夜もあっただろう。
あの父が泣かされる世の中だ。僕が泣く時があっても当たり前だ!
でも、明日は父のように笑ってみせると•••••」
すると、彼は心から勇気がわいてくるのだというのです。
今の大人は、子供の前で弱さを出さない。なんでも努力で乗り越えられるというフリをする。お金がなくてもローンがある。本当に食えないわけではない。だから、弱さを出さなくてもよい社会です。
でも、この世界は努力だけでは乗り越えられない時もある。痛みに耐えないといけない日々もあります。
大人が、「社会は、なんとでもなりますよ」「努力さえすれば大丈夫ですよ」と教えれば、そうならない時に、子供は「自分だけだ。こんなに弱いのは」と、さらに落ち込まないだろうか••••
教えで大切なことは、強さを強調することではなく 「弱くても、哀しくても、人は生きていかなければならない」を教えるのが帝王学なのだと思います。
誰もがみな、哀しい••••誰もが、誰かに傷ついている。そして、泣きたい夜は誰にもある。でも、明日になって、またあなたが笑えたら大丈夫。人は苦しくても、それに堪えて生きねばならない。そして、哀しい時にも明日、人は笑える存在だということ。君も笑おう!
だから、人はスゴイのは強いからではない。
誰もがみな弱い存在なのに、そんなにもあなたは頑張っているから、人は美しいのです。
誰もみな、ガンバレ!
昨夜の名古屋のホテルから
日本メンタルヘルス協会で衛藤先生が直接教えてくれます。