ケンカするほど愛してる⁈

      2019/04/21

 「ケンカするほど仲がいい」と言います。

 「うちの夫婦で、ケンカなんて起こりません!」という人がいますが、カウンセリングをしていると、どちらかが、相手の存在に、あきらめてしまって「あの人に今さら言ってもしょうがない…」と二人の関係修復を放棄していることも多々、見受けられます。

 別れを決心した奥様は、冷めた口調で「あの人が、そんな風に先生に言っていましたか?相変わらずバカですね。何も知らないで…まぁ、いいですけどね。今さら、あの人にどう思われても」と感情的にならないくらいに夫の会話に関心がない。いや、今まで期待しすぎたことを反省し、もう、夫のためには涙も一滴も流したくはないし、感情的にもなりたくない…という、深い過去の悲しみをうかがい知ることができます。

 まだ「あの人~そんな風に先生に言っていたんですか?悔しい~っ。会った時に言わなきゃ!」と相手にそう思われているのが許せないむかっと感じているなら、奥さんには、まだ、相手に対して関心も未練もあります。

 もう、本当に冷めてしまうと、相手にどう思われようとも関心がない。いや、興味もないようです。「あ、そうですか」と相手への関心がないのです。

 話は変わりますが、子どもが反抗期に、親に刃向かうのは「自分は愛されている」という安心感が根底にはあるからです。

 僕は、小学生の時、両親の離婚によって、離ればなれになってしまった母親と大人になって再会しました。

 でも、再会してからも母が亡くなる日まで、ケンカができませんでした。

 その時に、気づきました。ケンカできるのは、長年の歴史と関係性があって、絶対に二人の親子は切れないという、安心感があるからだと…。その証拠に、再会後、母が作った手料理に「お母さん、僕は、これが好きだったじゃない⁈」と僕。母は「そうだよ。のぶゆき、お前は、それが好きでね」と、まるでホームドラマの1コマです。

 でも、僕が一番、母に言えなくて尋ねなかったこと、それは「どうして、僕たち子どもたちを置いて家を出て行ったの?」「どうして、僕たち子どもを連れて出る方法はなかったの?」でも、これらの質問は、母の心中を思って、最後まで僕は尋ねることはなかったのです。

 だから、カウンセリングルームで、ツッパっていても、お母さんが迎えに来ると信じて、お母さんに反抗している少年をみると「君は愛されていいなぁ…」と羨ましいなぁ、と思う時があります。

 だから、自分の子どもに反抗されていると、なげいている親たちに僕は語っています。

 「子供たちは親を信じているから、逆らっているんでしょうね。これだけ自分が逆らっても、決して親たちは自分を見捨てない!」という、根底には安心感があるからなのだと…。

 僕が気になる子ども達は、親の期待に応え「よい子」を演じ続けている子供たちです。

 親に逆らうと、親から見捨てられ、親から愛してもらえない、との恐怖から「理想的な子ども」の演技を続け過ぎて、逆らうことも、自己主張もない子どもたちです。自分の良いところも、悪いところも、丸ごと愛してもらっていないので、親が期待するであろう、理想の人生を生き、親たちから愛されようとする。

 その分、その子は「自分をありのまま」愛されていないので、自分を好きになれない。なにか、自分の中にある、不完全感をぬぐいきれないまま「不安な大人」「自己否定型人間」になってしまいます。

 だから、ケンカしたり、自己主張したりできるのは、絶対的に信頼関係があるからです。

 そして、お母さんも我慢しないで、しっかり自分の思いを伝えればいいのです。

 「何を大切に自分は生きてきたのか、そして、子どもには何を大切に生きて欲しいのか」を、押し付けることなく、アイ・メッセージで語り、時には、子どもとシッカリとケンカ(意見の交換)して下さい。今すぐには、子どもたちは変わらなくても、子どもには必ず想いは宿りますから。

 教育とは、いつ破裂するか分からない時限爆弾です。タイマーが作動するのは親がいなくなってからかもしれません。でも、子どもの心の中に仕掛けられた、時限爆弾はいつかは、きっと、爆発(気づき)します。

 そして、ケンカしたら、最後は笑って仲直りしましょう。

 そして、親も子も、いつかは、こんなケンカすら互いに出来なくなる日が来ます。

 その未来の日には、懐かしく言い合ったことを思い出すのでしょう。お互いに…

 だから、逆らう子どもとも、シッカリとケンカして「今、ここ」にある、帰らないステキな時間を味わって下さい。

 恋人のケンカも、夫婦のケンカも、相手が存在していてこその悩みです。

 シッカリと「二度とは帰らない、この時間」を意識して、味わいながらケンカをしましょう。

 そう、♫ 仲良くケンカしな ♫


日本メンタルヘルス協会:衛藤信之のつぶやき







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