カッコよく生きろ!

      2019/04/21

 ペスタロッチーは言った「人は玉座の上に生まれても、藁葺きの屋根の下に生まれても等しき存在」と••••

 どんなに銀のスプーンのある金持ちの家に生まれても、貧しい家庭で生まれても、人生は自分で創造できると。

 いや、育てられた環境よりも、その後の人生を「どんな人になりたいか?」は自分で作り上げなければならない。

 大人は、自分の生き方が問われる。
 大人になれば、他人のせいにできないから怖いのです。

 子供の時に周囲に傷つけられたから、自分も人を傷つける側になろうとするか、人を守る側になろうとするかは、大人は自分で決めるのです。

 大人になれば、親や家柄の責任にはできない。だから、自分で「自分らしさ」をデザインしなければならないのです。

 そのためには、デザインのパターンが豊富にいるのです。だから、色んな国に行って、いろんな人々に会わないとならない。それらが、その豊富な材料になるからです。

 ビジネスの世界では、仕事の関係者やビジネスチャンスにつながる人に会うために時間を使うことが多いのです。

 また、子供の学校の父母会の関係だけが、世界になっている人もいます。

 世界が狭まるとデザインのパターンが同じになります。それでは、深みのある大人になれない。

 学生の頃の友人から、最近、自宅に電話が頻繁にありました。

 最初に電話してきた時は夜中で、酒を呑んでいるようで僕の「ケイタイの番号を教えろ!」と名前も名乗らなかったらしい。妻が名前を名乗らない方には「電話は教えられません」と伝えると、やっと名前を名乗った•••確かに、学生時代の同級生。

 それから、自宅に電話されると不安なので、今度、電話があれば僕のケイタイを教えてと家族に伝えたら、直接電話があった。「同窓会をしたいなぁ」「二度の離婚の話」「子供と会えない」「政治が悪い•••」「今の現場(職場)の待遇が悪い」かかる度に話の内容が緊急かと言えばそうではない。「そうか、そうか」と聞くだけの僕。彼は僕がカウンセラーであることを知らない。自分のことしか関心がないように••••

 今日はついに「財布を落としたからお金がない。お金を貸してくれないか」「いくら必要なの」「⁉•••••わかった」

 これは直接会わないとダメだと思い「それだけ、困っているんだったら行くから」とクルマで梅田に向かった。

 昔はイジメられっ子で、いつも僕の後ろについていた彼。
 「ノブさん」と言っては腰巾着と言われた彼をほってはおけないから••••。

 結果は「会わなければよかった」と、後悔だけが残った。

 人は誰でも何をやっても上手くいかない時がある。夢さえあれば、いや、お金を借りる言い訳くらいは作ってほしい。ならば、助けるかいもあるというもの。

 思い出だけは壊したくはないと思って彼に会った。

 彼が降りる時に「これは電車賃だ。なぁ、俺は友達にお金は貸さない。人間関係を壊したくないから。だから、これはお前に友達として差し出すから、返さなくてもいい。ただ、友人として言うけど、いつか別れた子供に笑って会える親になろう。約束なぁ!」と目をのぞき込んで僕は伝えた、祈りを込めて•••••

 人は目を見ればわかるから。

 そして、僕は彼のリアクションを見てみたかった。「あぁ、必ず返すけん」と「返さなくてもいいから約束な!」と僕。

 彼は「ニヤリ!」と笑って、クルマを降りた。彼は駅の構内に振り返らずに消えて行った。

 なぁ、お前、大人としてカッコよく生きよう。間違っちゃいけない。お金を借りることがカッコ悪いんじゃない。「きっと、いい親になる!」「男の約束なぁ!」と言ってくれればそれだけでいいんだ。

 それだけで••••

 クルマの中で、最後まで彼は僕の「今」を聞くことはなかった。今の不景気の話、自分を捨てた女性の話、そんなことより•••

 昔の話がしたかった。誰もが輝いていた頃の話が••••でなければ、お前のこれからの決意を!

 なぁ、人は大人になれば、自分で自分をデザインしなきゃいけないんだぞ。

 苦しみに流されそうになることはあるけど、でも、カッコいい流され方もあるんじゃないのか。ステキな落ちかた、這い上がりかたもあるんじゃないのか。

 彼の住んでいるという寮の最寄りの駅へと送ってからの運転は、とても長く感じた。

 いつもは意識のすみに押しやっている過ぎ去った時間を感じたのかもしれない。

 心から願います!

 出会った人々が幸せであるようにと••••

 誰も負けるな。

 俺も頑張る!

日本メンタルヘルス協会:衛藤信之のつぶやき




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