あなたは主役か、脇役か?
2019/04/21
出会いよりも、別れの時に、その人の真なる姿が一番見えると言われています。
誰かを傷つけないと、別れられない人もいます。親であれ、恋人であれ、復讐に燃える炎は、カウンセリングをしていても恐ろしいものがあります。
未来を見ようとしないのです。過去の誰かの言葉や行為に怒りの炎を燃やし続けて「今の時間」と「未来」を台無しにしているのです。それだけ「心」と「身体」が『過去』に引き裂かれています。
また、怒りがあると言うのは、それだけ、誰かへの怒りの感情に支配されているのですから、その相手(you)の存在が頭の中で大きくなっています。you主体の人生です。
人生は私(I)が主人公です。I主体の人生になることが多くの心理セラピーは目指します。自己の確立です。
僕をマンガの主人公にしてくれた、マンガ家の中谷Dさんと食事をしていて、面白い話を聴きました。
彼はマンガの登場人物たちのプロフィール(履歴書)をすべて書くそうです。
子どもの頃から今までの出来事や、心のゆがみなど…
それらを仕上げておくと登場人物たちが、どのように動くかが、手に取るように理解でき、登場人物の動きがスムーズになり、つじつまが合ったストーリー展開が生まれるそうです。
彼は言います。
ドラマでもそうですよね。主人公はイジワルされる側です。影で悪口を言いふらされて、恋を妨害され、でもけなげで明るく未来を生きようとする。しかし、悪役は影で策略をねり、恋を妨害し、悪口を言いふらし、いつも主人公を苦しめることに時間を割いているわけです。
だから、誰かにイジメられたら、それは主人公に近いし、いつも、誰かを攻撃し、おとしめようと考えている人は、確実に脇役で悪者の人生で演じてしまっているわけなんですよ。でも残念なことに、攻撃する誰かを、攻撃し返そうとするのは、やっぱり、それも脇役のタイプの人生なんです。
なるほどプロフィールと言えば、心理学にも「人生脚本」と言う分野があります。
子どもの時に「私はダメな子」とシクシク泣いていると、親なり周囲がかまってくれていた人は、大人になってもそれがクセになり「自分はどうせこんな人なんです」とすぐに落ちこみ始める人がいます。多くの人は「そんなことないよ。君にはこんなに良いところがあるじゃないか」と、かまってくれるからです。そうすることで、愛を勝ち取るのです。
その証拠に「私はダメだから…」と言っている人に、横で聞いていた人が「そうですね!ダメだね」と言ったりすると、その人は機嫌が急に悪くなります。
このように自己卑下タイプの人は、いつもそばで元気づけないといけないから、やがては周囲が疲れてしまい遠まきになり人は離れて行きます。この戦略は一時は、人間関係が得られても、長い人生で損失が多いのです。
子どもの時から親に「お母さんが悪い💢」と攻撃して「そう言わないで、気分をなおしておくれ」と、親にゆずってもらった人や、親を追い詰めることで、親の関心を向けさせてきた人は、恋人にも「あなたが悪い」と攻撃的になって、攻撃性を向けて「自分は可愛そう」という役割を演じようとします。そうすることで親のように、恋人の関心をこちらに向けさせようとする脚本のパターンをくり返します。
でも、恋人は親ではないから、いつしかその攻撃性に呆れ、恋人から別れを告げられることになります。この恋愛パターンは形を変えても、くり返すのが破壊的な人生脚本なのです。
怒りは決して何も生み出しません。それは、自分にも他人をも破壊してしまうエネルギーなのです。でも、心理セラピストの中には、その怒りの炎を燃え上がらせるセラピストがいます。
「それはトラウマなの💢」「怒りを抑えてはならないわ💢」「あなたは被害者なのよ❗️」そのように導いて、過去の怒りに相談者を縛りつける心理セラピストが大勢います。
もちろん、今後の「未来のため」に相手にキッパリと、自分の気持ちを言えることは大切です。それは健全な自己主張です。
ただし、その自己主張は誰かを傷つけるためのものではありません。過去の恨みや復讐のために、相手に怒りをぶつけるのは自己主張ではありません。傷つけられたから攻撃してやる、それを相手に認めさせ、反省をうながさせてやる💢という怒りの思いが背景に隠れています。これもyou主体の人生観です。それだけ相手に、いまだに依存率が高いのです。
そうです、自分の正義で相手を責めるなら、自分も同じ穴のムジナなのです。まさに脇役と脇役の小競り合いです。
これからの未来を輝かすために、大人として、ほど良い距離感を学ぶことが大切なのです。相手がイヤなら適度に離れれば良いのです。相手のそばから離れないで(依存しながら)、相手に攻撃するのは幼児心理です。
幼い子どもは親に依存している分(食事、住むところ、生活費)だけ、親が思うように動いてくれないことに、無意識に怒りを感じています。
でも、大人になれば、相手から離れられるのです。
こう言うと、親が「一人で淋しいから」と言われる人がいます。なら、それも「いい娘」や「いい息子」を演じたい自分がいるなら、それを認めたうえで「自分は『良い子』という称号のためにやっているのだなぁ」と納得して親のために笑って過ごせばいいのです。
相手にしがみつきながら、相手を否定するのは大人のすることではありません!
だから、憎しみも、怒りも、すべて過去に置いて、主役である「あなた」は未来を笑って進みましょう。