最高に忘れられない買い物…

　今では家も車も持ってます。でも、それらを手に入れた喜びよりも大きな感動を体験したことがあります。

　学生時代に買った、革のライダージャケット。それを街角のショーウィンドウに発見して、僕は一目惚れした。でも当時の僕には簡単に手に入る金額ではなく、バイトにバイトを重ねていた。いつも交差点にある店のショーウィンドウにジャケットが存在することを祈る日々。ある時は確認に夢中になり、交差点で後続車にクラクションを鳴らされことも一度だけではなかったと思う。

　やっと半年ほどしてお金が貯まり、お札を握りしめて店に入ると「来たか！兄ちゃんコレだろ！」と店主はジャケットを指差した。僕は強く頷くと「いつもこれを観てるのを知ってたよ。だから、売らないで置いておいた。兄ちゃんに着て欲しくって」店主の言葉に感動しながら、ジャケットの代金を渡すと、その中から一枚、千円札を抜き取って「これで美味しいもの食って帰れ！」もう、僕はなんとも言えない気持ちになってジャケットと千円札を抱きしめて「一生大切にします」と言って店を出た。今でも、そのライダージャケットと、その千円札は使えないまま、僕の人生の旅に付き合っている。

　ある海外セレブの買い物風景を観たことがある。「ここから、そこまで、もらおうか…」退屈そうに彼は買い物を続けた。それを観た時、あの頃の僕のほうが、ずーっと幸せな買い物をしているなぁと思えた。そう幸せは、あの頃の僕の側にいた。決して裕福でもない僕の側に…その時に僕の心に刻印されたのだと思う。
　
　幸せの居場所は、お金の量でも、セレブの立場でもないということが…どんな立場になっても、ピュアな感性は忘れたくないものですね。

　皆さんの最高の買い物を憶えていますか？　欲しくて欲しくてたまらなくて、やっと手に入れた大切な思い出…

　今の生活の中にも、たくさんの感動する心を忘れたくはないですね。

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心理カウンセラー衛藤信之
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