ムードの怖さ…

      2022/07/30

 汝、裁くなかれ…
 裁きは神様の領域だと…

 ある国の総理大臣が銃撃されて亡くなりました。不幸で悲しいことだと思います。その凶行に及んだ容疑者は、ある宗教団体と総理大臣の関係性を憎んでの犯行だったと供述をしています。

 そしてマスコミは、その宗教団体の秘密性をニュースで連日放送し始めました。まさに総理を襲撃した容疑者の思うツボです。余談ですが(その宗教団体はツボを売っていました)冗談はさておき。

 マスメディアが叩くと、その宗教団体を崩壊させることも可能かもしれません。でも全体を引いて見れば「過激なことをして、騒ぎを起こせば目的を果せる」と第二、第三の容疑者を作り出す可能性もあるということも慎重に考えなければなりません。マスメディアは視聴率アップのために結果的に「ある教団を潰したい」との容疑者の思いを遂げる手助けをすることになります。

 僕が日々に疑問に感じるのは、あの国の人たちは、あの宗教に入っている人たちは、あの芸能人はと、すべてを十把一絡げ(一塊)にしてシンプル化してしまうことです。また今の時代はセンセーショナルで過激であればあるほど、世間の注目を集める世界です。

 間違った認知の思考に「白黒思考」があります。この思考では「100%善人、0%悪人」になります。逆に急に反転して「100%悪人、0%善人」も同じことです。

 心理学でハロー効果と呼ばれるものがあります。一つ良いところを見ると、すべてが良いに違いないと信じすぎる心です。また、逆にホーン効果とは、一つの汚点を見つけると、完全に悪人に違いないと決めつけてしまう危険な思い込みです。その認知の歪みの背景になるのが白黒思考の中にあるシンプル化現象です。

 どの集団にも過激な人もいれば、まともな人もいます。どの国にも、ひどい人たちもいれば優しい人たちもいる。白黒思考にあるシンプル化の怖さはアメリカに対して日本は戦時中は鬼畜米兵とさげすみ、アメリカは日本を猿並みの知恵しかないイエローモンキーのジャップ!と、互いに敵国の人間全体をシンプル化することで戦争では相手国に対して無慈悲になり、情け容赦のないひどいことをやってのけるのです。広島と長崎への原爆投下。それが民間人の街を一瞬にして瓦礫の荒野にしました。

 白黒思考は思考を停止させてしまう効果があります。

 誰かが亡くなると、国家をあげて「いかに立派な政治家だったか」で100%善人になり、0%悪人という思考になります。間違ってはいけないのは悲しい出来事と認めるべきところは認め、不正などの正すべきことはうやむやにしないで検証を続けていくことです

 亡くなると、日本は同情心からムードに流されて、神格化が起こります。ですから検証もなきままムードだけで、亡くなった総理大臣を神格化、英雄化しないことも大人の冷静な思考だろうと思っています。

 また、クリスチャンであれ、創価学会員であれ、統一教会員であれ、イスラム教徒であれ、白黒思考での「立派な正義」は何らかの弾圧を産み、やがては周囲や社会からお墨付きをもらったものしか信じなくなることが僕は怖いのです。

 なぜなら、その周囲や全体や世界が間違うことのほうが多いからです。

 僕は右翼でも左翼でもなく、仲翼(仲良く)ですね。

 僕は「いろいろ価値観や考え方があった方が良い」と信じています。「じゃあ、危険な宗教を野放しにするのですか💢」と批判の声も聞こえそうですが、それぞれが誰かに騙されたり振り回される時代ではなく、それぞれが自分でしっかり勉強する時代になれば、こんなに大騒ぎしないで済むのかもしれませんね。

 なぜか、イライラしている人が「増えた社会だなぁ…」と僕は引いてみています。


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心理カウンセラー衛藤信之
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