名前は応援団!

   

 親から愛されなかったと訴える人はカウンセリングの現場に多い。
 そんな人は「親からは何もしてもらっていないし、悲しい思いばかりをさせられた」と寂し気な表情で遠くを見つめる…

 さて悲しみや怒りの背景には、心理学的には、その親や愛して欲しかった誰かに対する「常識的な期待(親なら、恋人なら)」が隠されているのです。

 その証拠に、見ず知らずの他人に「なぜ?私を愛さなかったの!」と詰め寄る人はいません。また期待してもいない他人に「愛されなかったから」と言って傷つく人もいません。誰か特定の人に怒りや悲しみを感じるのは、言い変えると、その相手に「執着心」や「期待」があるとも言えます。

 あなたの周りで起こりうる出来事は、すべて あなたの期待通りには進行はしません。だからといって「誰にも期待してはいけない」と、あなたに僕は暴論を伝えたいわけではないのです。

 怒りを自分に抱え込むのは、その誰かに対する執着心でもあることを知って欲しいのです。人間って不思議です…嫌いな相手に「執着心」や「怒り」といった感情で、その相手に心が支配されているのですから。

 この話はさておき、「親に何もしてもらえかった」と思う人は、自分が最初にもらった「親からのメッセージ」を思い出してもらいたいワークがあります。それは自分の名前を「自分で調べる」ということです。

 僕の名前は「衛藤信之」です。

 昔、親に僕の名前の由来を訊ねたことがありました。
  その時に父親から「頭が良い男の子が親戚にいてなぁ。じゃあそれを頂こうと思ってな」「え?! そんな感じ…ハハハハ…」
笑ってはいたものの、かなりショック!パクリ…?!「ははは、はぁ…」僕はショックを隠すため笑い続けた。

 だから、自分の子ども達の名前は、僕はすごく考えました。このエピソードにはこのような副産物が副次的効果はありましたから良しとしましょう。

 話はそれましたが、衛藤信之の「衛藤」は僕の父の出身地の大分が一位で、その次に福岡、東京、大阪と続く…

 さらに一字一字分解すると
 《衛》は「守る」「守る人」「戦う人」集落の周囲をめぐって警戒する「まもる」意を表し、「衛」の成り立ち。まず「行」構えは、十字路の道を表し、その道の真ん中にある分かれ道で、真ん中に口が入るので、言葉で道を指し示し導き、一歩進めるという意味があるそうです。

 《藤》は、藤の花から来ています。花言葉は「優しさ」「決して離れない」「可憐」「君の恋によう」と花の色によって分かれていますが、日本では古来から「藤は女性」に「松を男性」に例えられるそうです。藤の花のイメージで振袖姿の艶やかな女性を連想させます。「藤」のベースは、上が「草かんむり」で、下の部分は草を押し上げる水の象徴。水が湧き上がるさま。月は「渡し船」だそうです。誰かを下から支え導く。

 《信》熟語に「信用」「信頼」などがあるように「人と人が関わる場面」に出てくる漢字です。「にんべんに言」だから「誓いを立てて人と約束する」様子を表している形が「信」です。言った言葉に責任を持つ人。人に言葉を注ぐ人。神に向かって祈りを言葉で捧げる姿だそうです。そう祈りです。

 《之》「之」はもとは「止」と「一」を組み合わせて作られた漢字だといわれています。「止」は人の足の形をかたどった字から生まれています。これに直線を表す「一」を組み合わせて「まっすぐに歩みを進める」様子を表現したのが「之」です。「一歩踏み出していく」という意味から「之」はまっすぐに進むという意味合いがあり「何事も恐れず力強く、歩みを進める」ので男性の名前に使われる率が高い漢字です。「信之介」「裕之」「忠之」etc.

 こうして自分の漢字の意味を調べてみると、自分の名前の由来を知って、自分が少し好きになれます。

 「衛」の漢字で何を守る。「藤」→女性に象徴され、草を下から支えて行くことから、弱き存在や儚き存在を「信」それを言葉の力を信じて「之」真っ直ぐに進めてゆく。

 これを僕は
 《弱さを持った人や愛情ある人たちを守るために生まれ、それを信じて一歩一歩力強く進めて行く》

 この時に自分が「こうだ!」と思うことが大切なのです。
 人の言葉や周囲の解釈に惑わされないこと。

 ユングの夢分析と同じで、夢の解釈で大切なことは、自分が“腑に落ちる“(無意識が納得する)ことが大切だと言っています。夢も無意識から送られるメッセージです。腑に落ちるの「腑」は五臓六腑と呼ばれるように内蔵です。今は頭(脳)の時代です。でも、無意識で動いている内臓が認めた時に、私たちは心の深いところで納得がゆくのです。それは無意識のセルフ(自分の中に存在する、大いなるものと結びつく…)らのメッセージです。

 ですから、自分の名前の漢字の解釈は、自分が調べてみて「ピン!」ときたら、それがあなたの正解です。

 親が愛してくれなくても名前という最初のプレゼントをくれたのです。たとえ、僕のように親が考えなくても、占い師が決めても、上役が決めたとしても、最後は親が納得したのだから、あなたの名前はこれからもずーっと、ずーっと付きまといます。ならば自分で名前の意味を調べて、自分を自分で、もっと好きになろう。

 名前も、あなたの人生の応援団にかえて…

 

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