井の中の蛙 改め スマホの中の人間

   

 現代は情報が飛び交う時代です。

 テレビでは連日、コロナ禍の話や、災害の話、そして、将来にくる超不景気時代やら、私たちの周りには不安をあおる情報が嵐のように吹き荒れています。

 ネット時代になって、情報量は飛躍的に伸びたと言われます。

 でも、そのことで「あなたは昔より幸せになったか?」「昔よりゆとりの時間が増えたか?」この二つの問いに対しての答えとして、両方とも「YES!」と言える人は、どれだけいるのだろう?

 現実に「忙しい」「時間に追われている」と思っている人びとはカウンセリングの現場でも確実に増えています。なぜなら、スマホによって僕たちは便利になったと思っています。でも実際はスマホを私たちがコントロールするのではなく、スマホに私たちが犬が鎖につながれるようにコントロールされている時代です。

 年齢層が低くなればなるほど私たちのホモサピエンスはスマホ中毒になってしまっています。便利な道具なので決して敵対するつもりはありません。でも、依存になってしまっては便利なものによって、スマホで時間を取られてしまっては本末転倒です。

 スマホの便利機能やアプリに、なぜ私たちは依存させられたのでしょうか?

 それはことあるごとに「かまって!こちらに注意を向けて!見なくて大丈夫ですか?」とスマホから「ポン・ポン・ポン」と入って来るスマホの通知音です。

 これは理性では戦えません。理性で気にしないでおこうと思っていても、無意識が気になってしまうからです。スマホに支配されるのは、人間の理性の部分ではありません。スマホが絶えず誘惑してくるのは人間の本能(動物共通の脳)です。古い時代から存在する古い脳・本能に呼びかけてくるのからです。

 それが「魔の通知音」や「新着情報」です。

 僕たち裸のサル(ホモサピエンス)は、危険なサーベルタイガーやマンモスと戦いながら生きていた時代がありました。力の無かった原始時代の裸のサルは、草むら中から聴こえてくる「カサカサ…」という、葉がすれる音には、最大の注意を向けないと、恐ろしい野獣が草むらから飛び出して来て、命を奪われてしまうのです。この少しの警告音(アラート)に人間は敏感です。

 この原始の脳は、今の時代になっても、人間にビルトインされています。
だから、このスマホの通知音は、理性で抑え込んだり、意識では無視することはできません。

 そう「理性の力」では太刀打ちできないのです。だから、とても厄介なのです。

 この魔の通知音に敏感なことを、ネットのサービスカンパニーはよく知っています。

 さらに過去の膨大な情報をAIに注ぎ込み、あなたがネット上でチェックした過去のデータをも把握しています。

 ですから、その人に興味がある情報を強制的に一瞬にして送り込んできます。

 そう、僕たちは情報革命によって世界が広がっているように見えても、僕たちの現実の世界では、反比例するかのように個人のアクセスする情報は片寄り、狭くなっているのです。

 このように現代は、情報は広がるどころか、より個人的で自分本意な情報に囲まれて人は生きることになります。

 あなたがネガティブな情報にアクセスをすると、似たようネガティブな情報が深掘りされて入って来ます。

 このようにネガティブな情報が、あなたの世界を作るのです。ネガティブな人はネガティブな情報といつも生活することになるのです。

 私たちは世界にアクセスしているようで、より自分の手のひらだけを見つめて、近視眼的な世界になっていくのです。

 さらにテレビ関係者もネット関係者も誰でも知っていることがあります。それは「マイナスな情報は、人はさらに気になって視聴時間をあげて、無視できない」今の言葉でいうと「バズる」のです。

 そう「不安」「警告」「閲覧注意」と書いてあると人は気になってしょうがなくなるのです。

 ですから、一度ネガティブな情報を見たり、ネガティブな人とやり取りするとマイナスの磁石にどす黒い砂鉄が引き寄せられるように、ネガティブな情報だけが自分の周りに集まって来る結果になります。

 そして世界はネガティブな情報に満ちていると思い込んで、さらに気になってスマホを見、さらにマイナスなどんよりした気分の生活に落ち入って行きます。

 昔、評論家の寺山修司が「書を捨てよ、町に出よう」と言いました。現代は「スマホ捨て古本屋か、旅に出よう」だろうと思います。

 新刊の本も、現代売れる本を出版します。やはり情報は今の時代のブームに左右されます。ですから時代の風潮に流される傾向があります。でも、古本は今の時代と過去からの時代の動向が網羅されています。

 そして、今の時代はリアルなコミュニケーションが苦手な人が急増しているから淋しさからスマホに頼る時代です。

 でも、旅の中にはリアルな、人と人とのコミュニケーションに満ちています。そこには、忘れやすいスマホの情報ではなく、忘れない生身の出逢い情報が蓄積されていくのです。これがリアルな生きた情報です。

 ちなみに、僕は本屋の神様を信じています。僕はあまり最新のベストセラーは読まないで、本屋の神様が勧める、偶然の出会いの本が、何よりも上質な情報を僕に与えてくれます。それは僕の人生をステキにしてくれる道標でした。

 皆さんも古本屋の神様(偶然)が薦める過去の知恵にたくさん出会ってください。

 それはAIにコントロールされない世界です。

 そこには恐怖や不安といったネガティブな情報と、しっかりと自分で境界線を引くことのできる魔法の力があり、そこにはステキな世界が待っています。

 結論は時折「スマホを捨て、偶然の神様に会いに行こう!」

 誰もがアプリを利用している時代です。でも、それはスマホの機能やアプリに脳が支配されていることともいえるのです。

 このことに現代人は早く気づかないと、より自分の人生が、たくさんの情報にふり回され、さらに永遠に「時間がない」と叫ぶ人生にならないことを僕は祈ります。

 

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