心に灯火を…
湿気ったロウソクに火を灯すように街に光がもどろうとしている。
一度、恐怖と周囲の視線を意識し過ぎた心にも、街にも、光が完全に灯るのはいつのことだろう。
新たなスタートを歩き出す時に、人はそれぞれに心が揺らぐと思う。
すぐに生活に戻れる者、歩き出す時に戸惑う者。
ある種の自粛という一体感を感じていた者と、その巣からさっさと飛び立つ者もいる。
生活に戻れないまま戸惑う者。
帰った日常があまりにも変わり過ぎている人もいるのかもしれない。
急に立った時の立ちくらみに似て、人はすぐに歩き出せないこともある。
奇しくも雨の季節。雨に洗礼されて、新たな緊張の時代を、ゆっくり、ゆるりと自分のペースで足を踏み出せればいい…
これからの世界のほうが、心をシッカリ引きしめる準備が必要です。
来たる未来が分断の時代になるのか、協調の時代になるのか…世界の人びとのマインドが問われています。禍いは見えないウイルスという敵ではなく、心と心のディスタンスが広がり新たな人為的な禍いが生まれることです。
コロナウイルスはリトマス試験紙です。僕たちが、世界が協力しあえるのか、対立、分断でマインド・ディスタンスが広がってしまうのかの別れ道です。人類は医療だけではなく、心も進化していると信じたいものです。
歴史をひもとけば、ペストの後に魔女狩りが始まり、ハンセン病の患者さんは隔離幽閉が行われ、歴史的に近いところではエイズ患者に対して差別が横行したのは事実です。スペイン風邪の後に景気が悪化し、覇権争いで世界大戦が始まりました。
病気が人間の不安をあおり、その攻撃性が、誰かを攻撃する犯人探しが始めるのです。中国とアメリカの新型コロナウイルスのなすり合いは、その心理の現れです。世界がこの難局で手を結ぶのか、より世界が望まない方向に向かうのかは、スペイン風邪から100年が経過した今、医療の進歩と、ならびに心の進歩が、現代人に備わっていることを祈ります。
今こそ世界は手を携えて未来の扉を開きたいですね。