会話はジャブから・・・

      2019/04/21

 誰かと2人きりになったりすると、会話がもたないという人がいます。
 私たちは無人島で生活していない限り、人との会話はつきものです。

 太古の昔、人は弱い存在でした。牙も爪もない裸のサルであった人の先祖は、仲間で互いに守り合わないと生きてはいけない「個」としては弱い存在でした。

 それが、知恵を身につけ道具を使い、文明を進歩させることによって、この地球での最高上位の座に人間は君臨しました。でも、文明が発達した現代に至っては、直接、他人に頼らなくても平気で過ごせる社会へと変化しました。

  現代は、ご近所さんに「留守のあいだ、よろしくお願いします」と声をかけなくてもセキュリティの進歩で、地域のつながりは必要がなくなりつつあります。家族での会話も少なくなり、それぞれの家族がネットに頼り、自分だけの個の楽しみを延長させればよい時代になったのです。

 でも実際には、いまだに学校や組織ではリアル・コミュニケーションは必要になるし、ビジネスから恋愛にいたるまで、すべての勝敗はリアルなコミュニケーション能力が必要なことは、昔も今も変わっていません。

 ただし、見かけ上では、昔よりもコミュニケーション能力がなくても孤独は感じなくなっているように思われます。

  電車でも、駅でも、時間があれば目の前に広がる社会の動きに目を向けずとも、小さな端末に思考を逃げ込ませる人が多くなりました。

 そして、日本は東日本大震災以降に、マスクを着用する人も増えました。もちろん、風邪の予防や他者への気づかいもあるのでしよう。ただ、心理的にマスクが手放せない状態になると「マスク依存症」になります。自分の身体的なコンプレックスを隠すためや、あるいは他人との会話が苦手、表現が下手だから、顔や表情をなるべく人の目から隠すためなど、他人と無意識で接触を恐れる理由での「マスク依存症」も増えています。もう、マスクが、お守りのような存在になると心理的に依存です。

 あるハリウッドスターが、日本人のスタッフ達に「そんなに、あなた達はありのままの自分自身を受け入れ、自分をアピールすることに自信がないの????」と激怒したこともありました。西洋社会ではマスクをしている人は、病院内でしか見られません。

 僕も誤解を恐れずに言うなら、マスクをいつも手放せない人には、自分の半分を隠してコミュニケーションされているようでフェアーじゃない気がして、個人的には好きではありません。心の奥で「素直な、あなたを見せてくれないかなぁ」と思ってしまいます。もちろん、化粧をしていないとか、乾燥を避けるためにとか、病気の予防もあるのでしょう。でも、その背景に他者への防衛や抵抗が少し隠れているのなら、会話の時に、マスクをはずすことは自分をチェンジする機会になるかもしれません。

 話はそれましたが、今は文明の発達で孤独を感じにくい「お一人様の時代」だとも言えます。ただ、何か不測の事態が起こった時には、やはり必要なのはサバイバル・コミュニケーション能力になります。
 そう!周囲の他人とソツなく「ふれあえる能力」です。

 人と話せない人と話をしていて、自分が人からどう見られているか、どう思われているかを考えすぎて、実は、「自分に」注意が行っているために、他人を見ていません。「人が…」「周囲が…」といっけん他人を意識しているような言動なのですが、実は自分が嫌われないか、自分が変に思われていないかの「自分自身」を意識し過ぎて、自分以外の周囲や他人の言動や表情には無関心なのです。

 だから、カウンセラーとして僕が「あなたから見てステキな人や、憧れる人は、どんな会話や話題を話しています?」と訊ねても「え?どんな?」と首をかしげます。そしてカウンセラーに訊ねてくるのは「僕はおかしくないですか?」「私の目線はおかしくないですか?」と、自分だけに意識が向いているのがよくわかります。

 コミュニケーションの基本は、ステキな人からの取り入れ(モデリング)です。だから、自分ではなく、周囲を観察することです。

 笑顔、うなずき、視線「なるほど!」「そうか!」「うん、うん」といった相づちや、沈黙、姿勢の向き、そして、会話コミュニケーション力など。

 もし、どうしても2人きりになって会話がないと不安なら、古典とも言える処世術ですが『木戸に立ちかけせし衣食住』を使ってみるのも良いかもしれません。

  親しくない人との沈黙で間が持たなくなったら、これを順番に使ってみると軽いジャブの会話からストレートの深い会話につながることもあります。

 《木(気候)戸(道楽とおぼえて趣味)に(ニュース)立(旅)ち(知人、共通の知り合い)か(家族・家事)せ(世情・政治)し(仕事)衣(着ている服)食(食べ物)住(住んでいる地域)》

★気候
 「今日は雨が降りそうですね。」「東北は雪がスゴイんだって」「僕の住んでいたアリゾナ州は夏は毎日40度以上ありました」「スノボー行くんだけど雪あるのかな…」
★道楽・趣味
 「最近、英語を習い始めたんだ」「あの映画を観ました。面白いですよ」「アニメのコスプレが大好きなの」「あのピコ太郎、頭から離れない」
★ニュース
 「トランプ大統領のツイッターを読んだ!」「あの昭和のスターが亡くなって淋しい」「築地市場どうなるの?」「〇〇選手、新記録更新ですって!」
★旅
 「先日、北海道に雪まつりを観てきたんだ!」「出張のついでに郷土料理を食べてきました」「日本は冬でも、ニュージーランドは夏だからね行こうと思うの!」「あなた、旅はどこに行きたい?」
★知人
 「あの人とはよくお酒を飲みました。」「あの人は、僕の大学の先輩でね。」「あの人なら紹介してあげられるよ」
★家事
 「子どもが小さくて汚すから、全然家がかたづかない」「お姉さんが今度結婚するの」「娘が大学を卒業しましてね」「リフォームって高いの?」
★世情
 「不景気で困ります。」「あれが流行ってるよね」「安倍さんの外交で日本はどう変わるのかね」「悲しい事件が続いていて苦しくなる」
★仕事
 「僕は営業をしていて思うのですが…」「会社にうつ病で休職している人がいて」「僕の職場はステキな人が多いのです」「僕の会社はこんな商品が売れているのだけど」
★衣装の話
 「その服どこで買ったの?!ステキね」「この服、私の好きなデザイン」「今年の春のコーデは」「それ日本で手に入らないブランドじゃない」
★食の話
 「あそこのラーメン屋は行列が出来るよ」「あの地域に行けば、あれを食べたらいいよ。」「あのスィーツ最高だった!」「肉料理には、あのお酒がオススメです。」
★住まいの話
 「近所ですよ!一緒に帰りませんか」「僕の母は出身があなたと同じです。」「昔、学生時代に、そこはよく行っていたよ」「近くに彼の会社があるのよ。」「あの地域は治安がイイですね」

 ただ会話でも「天気いいですね」だと「はい」で終わりますから、クローズド・クエスチョンは避けましょう。一番は、オープン・クエスチョンです。「このまま天気が良くなって、春っぽくなるとイイですね。僕は春が好きなんです(自己開示)。あなたは、どうですか?」

 どちらにしても他者や世界に関心がないと、この古典的会話の技法も内容のないものになってしまいます。ネットだけの情報などは、どこかの記事をショートカットした内容なので、会話していても個性や知性が感じられなくて深みが出ません。だから、最初はジャブ的な会話から始めたとしても、人と出会ってリアルなコミュニケーションを持ち、本を読んだり、他人や周囲にもっと関心を持ちましょう。
 
 初めてのデートで会話がないというあなたへ

  アイ(愛)メッセージを使ってみては
 「じつは、先ほどから自分らしくなくて自分自身でも戸惑っているんだ…きっと、君に気にいられたいという思いで頭がいっぱいで、それ以外のことが頭に浮かばないせいだと思う…」

 うまく言うことばかりを考えるより、自分の思いを正直に伝えることが大切になります。そう、自己開示ですね!!

 GOODLUCK!👍


 


 

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