やさしいだけの社会で人は育つのか・・・

      2019/04/21

 僕の父は怖かった。土建会社を経営していたので、荒くれ者がいっぱい従業員に在籍していた。でも、幼い頃の僕は、そんな人たちに、可愛がってもらった記憶があります。そんな荒くれ者たちを管理するのだから、父自身が怖くないはずはない。
 ゼネコンの現場では危険がつきまとうので「オラー💢そこ!気をつけんかい!」「後ろ気ぃつけろ!死にたいんかアホ!」声の大きさは命を守るために必要だったのだろう。昭和の高度経済成長の日本でもある。

 その父親に育てられたので、いつ鉄拳👊が飛んでくるかヒヤヒヤものだった。でも、そのお陰で人の顔色を観る能力は、幼い頃から、その父に英才教育で養われた。「空気を読む能力」は、僕は人一倍身についた気がする。それは怖い状況下だけではなく、その場に居心地が悪そうな人、何かを気にして会話に入れない人。目の奥で人間不信から探りながら人を見つめる人。それらの人々の心の動きを感じとれるようになっていた。

 その能力は、人生という舞台で「損したことがあったか?」と問われると「全く!ない」と言っていいと思う。

 ただただ優しさを問われる時代。カウンセリングの世界でも「受容」や「共感」と言われてきました。心底、心が傷ついている人には大切な事だと思っていても、それを振りかざして「傷ついた!」「愛されなかった!」「あの一言で自分の人生は台無しになった」と言いながら「被害者」の人が「加害者」に変じて、誰かを攻めている人を見ると、カウンセリングの現場に身を置いていても首を傾げ(かしげ)たくなります。

 古典心理学では、感情を外に出すこと、怒りを抑えないことを是として来ました。でも、現代、最新の心理学派の多くは、それに疑問を投げかけています。怒りは人生を停滞させ、社会的にも副作用が多く、本人が未来を向くのを妨げると言うのです。

 色んな人間関係、色んなシュチュエーションにも、柔軟に対処できるフラストレーション・トレランス(欲求不満に耐える能力)は、人を成長する時には、必要不可欠だと多くの心理学者は言うのです。

 日本ではフラストレーション・トレランスが多かった時代がありました。その頃はお茶の間では、世代の違う人達と、会話する必要がありました。冷暖房設備も、それぞれの部屋で完備されていない時代は、望む望まないに関わらず、世代間ギャップを感じる人達との会話を求められた。誰かにかける電話では、時候の挨拶から始まり、本人を電話口に出すまでの差しさわりのない会話は、一般教養として身につけるしかなかった。恋人への電話は、親という名の「関所」があった💦お店は夜中には閉まっていて、すべての人々が次の日まで我慢をするものでした。今はコンビニが24時間開いていて、多くの欲求はすべて叶えられます。いや、もうお店に行くこともなくネットで自宅まで求める物が届く時代です。

 先生という存在は怖くて、警察も偉い人で、政治家の方々も立派で「末は博士か、大臣か」と言われた時代もありました。

 今や政治の裏工作、警察や教師の不祥事がニュースに流れない日はありません。それに伴って流れるニュースでは「人生、面白くないから、誰でもいいから人を殺したいと思いました」短絡的な殺人。

 警察にたて突く若者、学校の教師も、生徒とのやり取りでうつ病になる教職員は年々増加の一途をたどっています。家の中では、それぞれが会話もなく、スマホだけに視線をおとす家族。ネットで誰かの攻撃に時間を費やす人びと。

 誤解を恐れずに言えば、ハラスメント問題も、傷ついた者だけが「正しい」という社会は、先に語ったごとく「被害者」が「加害者」になり代わり、主客転倒のフラストレーション・トレランスの弱体化した社会になります。それは古今東西、経済の低迷、社会の混乱を引き起こす恐ろしさがあります。

 人も心も、成長なき社会にならない事を、僕は祈らざるをえません。
 来年は本当の強さや、優しさを考える時代にしたいですね。

 僕は今、父親に心から感謝しています。光と陰を教えてくれたのは貴方でした。

 

 

 昭和の男が、たくさん世を去る時代だから、あなたの怖さの裏にあった優しさが、最近は妙に身にしみます…

     年の瀬に愚息の息子より

 



■youtubeで有名な鴨頭嘉人さんが、僕の話し方を高く評価してくれたそうです。ただ、ただ、嬉しかったです。

https://www.youtube.com/watch?v=XYx4KyedCKY 30:00~
https://youtu.be/Rzpx4KuOljc


■内田新哉さんの個展
 メンタル後編の教材の挿し絵をたくさん提供して下さった、僕の大好きな内田氏の個展が東京の青山であります。お近くの人はお立ち寄り下さい。
 

 

 2018年12月20日(木)~12月26日(水)
  「18年原画展」
 <会場>ギャラリーコンセプト21
 〒107-0061東京都港区北青山3-15-16
 TEL03-3406-0466
http://uchida-shinya.net/archives/1734

 

 

 

 

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