幸せの練習帳。

      2019/04/21

 「愛は時間をたつのを忘れさせ、時間は愛を薄れさせる」とドイツの格言にあるように、愛の持続性は難しく、愛の半減期は早いのかもしれません。

 話せるだけでも幸せだったのが、次に逢えないとイラだち、電話がないと攻撃し、プレゼントや記念日を忘れると愛が冷めたと落ち込んでしまいます。

 子育ても、無事に生まれて、五体満足であればと願います。やがて、はえば立て、立てが歩め、そして、次には走れ、やがて、かけっこで一番になれ~!

 仕事も、人生も、僕たちは「もっと、もっと病」です。

 これを心理学では「順応水準の原理」と呼びます。

 テレビも、カラーになり、ハイビジョンになり、プラズマになり、3Dになると以前の状態では楽しめなくなります。そして、以前の水準では満足できなくなるようです。

 スピードが増す時代の中で、立ち止まって考えてみることが大切です。牛は胃と口で何度も「反芻(はんすう)」して消化します。

 ランニング・マシーンに乗って走っている人生から、すこし横に降りて、僕たちは人生の時間を「反芻」して、人生を味わうことが大切です。

《反芻》

 家で寝そべりながら、屋根のある部屋にいることの幸せ。
 歩く時も、ゆっくり歩きながら、すれ違う人の中にも人生があり、心があり、未来どこかで出会う存在なのかもしれない幸せ。
 生活のあわただしさの中にも、変わらない平和な日常がある幸せ。そして、今日は二度と戻らない一日、その愛おしさを抱きしめる時間の幸せ。
 食べている時に、今日も食にありつける幸せ。
 仕事のある幸せ。友だちがいる幸せ。
 いろいろ生きることに疑問があっても、それをこれから解いていける幸せ。
 地球が、今日も複雑な計算式以上の正確さで自転している幸せ。
 吸えば目の前に空気がある幸せ。
 片思いにせよ、両思いにせよ、愛することの幸せ。まだ、そんな愛する人がいないなら、これから出会うかもしれない幸せ。
 「そんな愛する人が出て来なきゃどうしょう⁉︎」と思っている、そこのあなた! それだけ未来が分からないほどに、可能性の世界に生きている幸せ。あれこれ考える頭が機能している幸せ。
 その愛する大切な人が旅立ったのなら、また、どこかの世界で巡り会えるかも⁉︎ と想像できる幸せ。
 看病をする幸せ。怒る幸せ。泣くことのできる幸せ。さよならを言える幸せ。
 そんな、人生のガヤガヤに五感が ふるえる幸せ。


 こんなに僕たちのそばには幸せが落ちている。そんな、立ち止まる時間が、心をリセットしてくれます。

《 告知 》
 一枚の絵には、切り取られた優しい時間が落ちています。そんなことを感じさせる、僕の好きな作家、内田新哉さんの水彩画展が青山のセントグレース大聖堂の真ん前にある東京青山コンセプト21で、先週の木曜日から今週の水曜日5日まで開催しています。東京の人は、そんな幸せな時間を探しに立ち寄ってみて下さい。
新哉




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