外ではなく、内を掘れ!

      2019/04/21

 「外を掘らないで、内を掘れ」これは土木関係のキャッチコピーではありません。

 外とは、外的環境の金銭や地位を追い求めていくのか?
 内とは、自分の中のマインドを鍛えていくのか?

 どちら側に、人生の大切な時間を費やせばいいのでしょうか?

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 今までの日本は、右肩上がりで、つねにMore & Moreを求めて来ました。より拡大し、より利益を蓄えることを疑わないで進んできました。子どもたちにも、さらに勝ち組になることを目指せと…

 ただ、カウンセラーとして、日々感じることは、どんな立場に上りつめても、その場で幸せを味わえる能力がないと、人は幸せを感じることはできないということです。

 ある会社の経営者は、いつ、どこに行っても特別な接待を受けないとイライラします。ホテルに行っても、レストランに行っても、あるいは、小さな喫茶店であっても「社長様!」と特別扱いを受けないとコーヒー一杯を楽しめない。

 ある老紳士は、いつでも、どこでも穏やかな笑顔で過ごしています。飛行機でビジネスシートに座っても、キャビンアテンダントが荷物を上の棚に上げようとしても「大丈夫です」と笑って、ヒョイと荷物をあげる。そして、キャビンアテンダントに「いつも、ご苦労さまですね」と声をかける。

 先のイライラした社長さんは、目くばせで「お前が、あげろ!」とばかりに女性のキャビンアテンダントにあげさせようとする。自分は特別なんだと言わんばかりに。彼は、誰もが自分の立場や地位に「ひれ伏すべきだ!」と思っている。だから、その地位と名誉にしがみつく。

 でも、どこに行っても笑顔をたやさない老紳士には、その人そのものに魅力があるのです。だから、何も持たなくても彼は幸せなのです。小さなお店で、普通の接客を受けても、ニコニコ微笑みながら、店の目立たない片隅で、コーヒーをすすっています。

 内に輝きを感じます。

 多くの本やセミナーで、いかに一攫千金で儲けるか、いかに楽をして利益を得るかなど、努力せずに出世する方法が語られます。お金や地位が人生を楽しませる絶対的な条件であるかのように…また、そこに参加する人もそれを疑っていません。

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 アメリカの広告の欄で、こんなのを見たことがあります。

 79歳の男性です。私に電話をして下さい。話し相手がいません。電話して下さった方には⚪️⚪️ドル差し上げます。

 62歳の女性です。私と教会に行って下さい。友達がいません。教会に行って下さった人には⚪️⚪️ドル差し上げます。

 このような求人の欄が続きます…もちろん、それぞれの諸事情はあるのでしょう。

 でも、多くの広告主のメッセージに目を通して、僕自身が感じた印象は、この人たちは、支払える財力はあるけれど、電話してくれる友がいない、教会に誘ってくれる仲間がいない。財産があっても、財人、財縁がないのです。

 多くの成功者を調べたアブラハム・マスローが、真の成功者の共通点は、戦時下でも、平和時にも、どんな条件下でも、幸せを感じる能力を持ち合わせていると言っています。さらに、豊かな生活でも、質素な生活環境においても、彼らは同等の満足を感じている自己実現の能力をあげています。

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 特別な待遇、特別な経済状態でないと楽しめない人は、環境の奴隷、金銭の奴隷なのです。

 僕はどんな条件下であっても楽しめる、自分自身の奴隷でありたい。

 「成功!成功!」と、目を充血させ鵜の目鷹の目で、目に見えない成功だけを求めて生きている人は、今の中に落ちている、空の色、風の香り、周囲の人びとの笑顔、ゆっくりと流れる時間の中にあるコーヒーの香りを味わえない人です。

 外側ではなく、自分の内部を輝かす努力を惜しみなくしていきたい。




日本メンタルヘルス協会:衛藤信之のつぶやき









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