ストーリーテラーに必要なこと…

      2019/04/21

 ある女子高校生からブログにメッセージをいただきました。

 不登校のために、みんなとは卒業式には出れなかったけど、自分だけの卒業式でのエピソードが書かれていました。一人の卒業式に、他の先生たちも、集まってくれましたと…

 そして、片付けられた紅白幕を、先生たちが壁代わりに持ち、来賓役、渡す役、呼び名をする役になり、さらに、花瓶に、お花まで用意してくれて祝ってもらったと…そして、渡された卒業アルバムの裏には、たくさんのクラスメイトや他のクラスからも、寄せ書きがあったそうです。

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 朝出かける前は、卒業証書も、卒業アルバムも帰ってきたらゴミ箱にでも、捨ててやろうと思って出かけた、ツラかった学校で、彼女は「こんなに人は暖かくて、優しかったのだ」と、学校が一変し、感動して涙が止まらなくなったそうです。

 彼女は「今日ほど人を好きになったことはありません」と書いていました。その感動を自宅に帰ってお父さんに話したら「最初から学校に行けていたら」と、残念そうだったそうですが、彼女は「遠回りだったけど、人の優しさを知れたからと…」これで良かったのだと書いてくれていました。

 そして、人なんて信じられないと思っていた彼女は、一年浪人して大学に入り、臨床心理士を目指すそうです。お花屋さんでバイトをしながら。お花は、誰かの大切な日に節目になったり、誰かの心を癒してくれる気がするからだそうです。そして、大学に入ったらメンタルにも通いたいとの希望を持って!

 いろいろなドラマがあります。

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 不登校で、卒業式に、隣の校舎から体育館を見ながら、自分がそこにいないことへの淋しさ、一緒に来たお母さんへの思いも「本当なら胸を張って、あの体育館にお母さんは座れていたのに…」という申し訳なさから、急に感情が押し寄せて、涙を流した女の子も知っています。

 「卒業式なんてくだらねぇ」と、ツッパって参加せず、大人になってから、後悔している人もいます。

 震災のために、失われた卒業式を、ガレキの残る校舎後で式を挙行して、涙している子供たちもテレビで放映されていました。

 それぞれの人生のストーリーです。

 人間は何を食べたかではなく、何を吸収するかが大切だと言われます。人生も同じで、どんな出来事だったかではなく、その出来事から、何を学び、吸収したかが人生だと思うのです。

 僕自身、両親の離婚、義理の母の自殺、子どもの小児がんなどを通して、学んできたことが人生を語るうえで、多くのオリジナルな気づき(ストーリー)をくれました。

 人生は一度きり、ありきたりの人生よりも、いろいろ感じる人生のほうが過ぎ去った時に、誰かに何かを感じさせるストーリーになります。

 ネイティブ・アメリカンの長老たちは、村で尊敬されています。

 それは、彼らが、その年齢に到達するまで経験するであろう、数々の多くのストーリーを持っているからです。

 それは、誰かに自慢できる、輝かしい栄光のストーリーだけではないのです。

 熊に襲われそうになった怖い話、荒野で砂嵐にあって死にかけたお話し、失くした大切な恋の話、その数々のストーリーが、彼らストーリーテラー(語りべ)の表情に、美しいシワとなって刻まれていくからです。

 僕たち日本では、何もない安全な平たんな道を好みます。でも、ネイティブ・アメリカンの長老は言います。

 平たんな人生の道は、歩くのに飽きてしまうだろ。でも、人生の道は、いろいろあったほうが、頭も心もシッカリ使うから、心が研ぎ澄まされてゆくのさ…

 まぁ、俺はゴメンさ、そんな平たんな人生など、アクビをするようなストーリーだと、誰の心にも届かないし、聴き手の瞳を、キラキラ輝かせることなどできないからさ…。

 だから「この人生の中で、たくさんのストーリーから君は学びなさい!」と…





日本メンタルヘルス協会:衛藤信之のつぶやき



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