分析屋さん
2019/04/21
その子は「今が一番幸せだ」と思って笑顔で人に接していた。
ある時に、ある人が「その笑顔が嘘っぽい」とその笑顔を指摘した。「どうしてムリするの? 本来の貴女を出せばイイじゃない」と、その笑顔の彼女は言葉を失った。
なんとか、気を取り直して「もちろん、イヤな時まで笑顔を作っているわけではないですよ。でも、職場や、このような楽しい場では、笑顔でいた方が人に不快を与えないでいいじゃないですか」と笑った。
その人は「 でも、その笑顔が嘘っぽい」と、また指摘した。
「もっと、素直になればいいじゃない。何でそんなにムリするの?」と、さらに諭すようにその女性は言った。
さらに、その女性は「私は、あるがままの自分と接してくれる人と、いつも出会っているし、そんな『本来のあるがままの私』を良しとしてくれる友人や仲間だと、私は周囲を信頼しているから。ムリする必要がないの」と胸を張った。
自分の笑顔を否定されてしまった女の子は「自分は周囲を信じていないのかなぁ」と悲しい気持ちになった。
さらに、彼女に追い打ちをかけたのは、そばにいた顔見知りの男性までが「いつも、その笑顔で癒されてはいるけど、なんだか、その笑顔のせいで親しくなりにくい。もっとありのままの貴女が見たいです。なんだかその笑顔で『これ以上入らないで』と壁を作られているみたい」と輪をかけて言われたから、彼女はさらに自分の笑顔に自信を失ってしまった。
このような、分析屋さんは、誰の周囲にもたくさんいます。
「衛藤先生は、笑顔でいるけど、本当は孤独じゃないですか?」
ここで、ポイントは、誰でも孤独な時もあれば、満たされている時もあり、人は弱気な時もあれば、前向きな時もあるのです。
誰もが、人生の歴史を振り返れば、色んな側面を持っているのです。
そこで、僕が過去の孤独な瞬間を思い出し、そこにフォーカスすれば「ええ、そうなんです」となる。相手は「当たり!我が意を得たり」となるのです。
そして、僕はその会話に誘導され導かれることになります。
これは、メンタリストのダイゴ君が、よく使っているコールド・リーディングの一つです。交流分析の心理学ではフック(相手を引っ掛けるかぎ爪)と呼びます。
霊能者や占い師などが良く使うテクニックでもあります。
誰でも「今まで苦労されましたね」と言われると、誰もが過去に一つや二つは苦労した出来事があります。まして、占いに足が向く時には迷っている時か、悩んでいる時です。
当然、弱気な時には「そうなんです。わかります~ぅ⁈」と、相手の占い師に依存したくなる、心のスキマが生まれます。
女の子のステキな笑顔に、マイナスな指摘をした女性は、もしかして初対面の人に、そのような意表を突く会話をすることで「スゴい!この人!」と、今まで周囲から注目を集めて来たのかもしれません。
そして、そこにいて賛同した男性は笑顔の女の子と、もっと親しくなりたくて、自分に弱さを出して欲しかったのかもしれません。
それが、一所懸命に、今が楽しくて笑っている女の子の笑顔を凍りつかせたようです。
ここで大切なのは、人にアドバイスや助言、分析をする時は、誰かが人生が上手くいかず、自分に完全に自信を失って「どこが私の問題ですか?」と直接に訊ねられた場合には、助言や分析も必要な時があります。
でも、そうでない限り「貴方は、こうなのよ!」との指摘は、相手の為にならないどころか、相手を傷つけてしまう可能性がありますね。
ましてや、相手は「そうではなくて」と言っているのに、自分の絶大なるプライドの為、勝ち負けに、こだわり過ぎて「いいえ、貴方はそうに違いない!」と言うような、相手への決めつけは、ヘタな占い師みたいで、相手を傷つけることになりかねません。
初対面での、会話のマナーには、気をつけなければなりません。
「人」の「為」と書いて「偽り」と読むことを再度、肝にめいじていたいものです。
衛藤先生は「孤独でしょう?」と言われたら、
「そうですね。孤独な時もあるかなぁ。でも、孤独は人を強めるし、孤独を知っているからこそ、人に優しくできますからね」と笑顔で返します。
もちろん、僕を指摘してまで、僕に関心を持ってくれて「ありがとう」と心から感謝しながら。
ムリは良くないこと、あるがままがステキなこと、孤独は淋しいこと、自分を作ることは良くないことと、周囲のジャッジメントに影響されない人になりたいものです。
なぜなら、孤独もまた良し、ムリも時には必要。自分をステキにする時には、それが習慣化するまで、自分を作る必要もあるのですから…