恋は終わり、愛が始まる…
2019/04/21
昔、読んだ詩に、小包の紐をほどきならが考えた、結ぶ時よりも、ほどく時のほうが時間がかかるものだと… 人間関係の愛も、結んできた熱い日々よりも、冷めてからほぐしにかかる悲しい時間のほうが辛抱がいると…
「出会いは突然に」と言うけれど、関係を結ぶ時には「自分達が、これから大切な関係を結ぶのだ」とは、意識には上りません。
別れの時、互いの関係をほどく段階になって、人はその結び目が、知らないうちに、いかに固く、強く互いに結ばれてきたかを気づき、涙するものだと…
そして、出会った時には、ほどく瞬間がやって来るなどとは、誰もが気づきにくいものです。
「どうすれば、別れの悲しさから逃れられますか?」と、カウンセラーとして、僕も未だに答えなど見出せない、質問を投げかけられます。
ただ、僕は「逃れないほうがいい」と思っています。
大切な人との死であっても、恋愛の別れであっても、関係を自分から解くにしても、相手から解かれるにしても、僕は「その結び目の固さに驚き、悲しむ時間が必要なのだ」と感じている。そこで人は成長するから… それは、過ごした日々であり、笑った瞬間であり、自分と相手との大切な時間が、結び目の固さに織り込まれているのです。
悲しさも、喜びも、大切な自分の人生だからです。
自分の人生に後悔する人は、後悔することがらにあるのではなく「後悔した」と、自分の過去の出来事に対して、簡単に白黒に分けてしまう、心のクセにあるのです。
投げやりに、その結び目を力で断ち切る人もいるでしょう。時間をかけて、その結び目を、感謝しながら大切にほぐしてゆく人もいます。
結ぶ時は、人は互いに優しくなれます。ほどく時にこそ、人はその真なる美しさが垣間見えます。
悲しみのあまり攻撃に転じる人もいます。相手の不幸を、どこかで願うこともあるかもしれません。
だから、その人の価値は、その始まりではなく、終わりの時に愛の真価が問われます。
そして、子供のような恋が終わり、真なる愛が始まるのです。
「歌は終わった、でも、メロディーが鳴り響いている。」村上春樹
貴方は、どんなリズムで生きてゆくのか?