母が思ってくれたように•••
2019/04/21
確かに、僕にもやりにくいと感じる人がいないわけではない。昔は、僕も好き嫌いも激しかったようにも思う。
でも、あまり好き嫌いが、昔ほど感じなくなったエピソードがある。
僕は大人になり、子供の時に別れた生みの母親に再会した。
その当時、生みの母は喫茶店を経営していた。お店を任せているアルバイトの男の子に、お店の売り上げ金を盗まれたことがあったそうだ。
その時に、一緒に生活していた人の「警察に届けよう」と言う言葉に、母はキッパリ「行かない」と告げたそうだ。「なぜ?」と言う問いに「自分が置いてきた子供たち(僕)が、ひと様のモノに手をつけることがあるかもしれない。その時に子供達も、誰かに許してもらいたいから、私はあの子を許したい」と•••
そのあと一年後、持ち逃げしたアルバイトの男の子は、泣きながらわびに来たとも聞いていた。
その出来事をある人から聞いた時に、
僕はとても温かい気持ちになったことを今でも憶えている。
もしかして僕がステキな人に多く恵まれてきたのは、その母の祈りが通じたのかもしれないとも思った。
だから、僕は困った人に出会っても、その困った人にも父や母がいて、本当はその親御さんも、子供のことをとても心配している。でも、都会の中で生活している子供に援助ができない。だから、その人に代わって、僕が助ける手助けをさせてもらう。
そう感じると、なんだか力がわいてくる。どんな人にも親近感を感じるのだ。
老人ホームに慰問に行く。その時に、どんな老人の中にも、昔、可愛がってくれた祖母を探そうとする。
もちろん、顔も違う。性格も違う。ましてや、困らされることも多々ある。
でも、その老人の中に、在りし日の祖母を発見しようとする僕がいる。
やんちゃな男に会ったりする。奥さんを泣かせ、遊びの好きな男に。そのやんちゃな中に、やんちゃな父を発見する。屈託のない笑顔を•••すると何だか憎めない男になる。
子供に出会う、苦しんでいる子供に、その時に、自分の息子、娘だったらと思う。そうすると逃げ出したいと思わなくなる。
母がそうしてくれたように•••
憎しみは伝染して戦争を作り出す。でも、愛も負けないで確実に伝染するのである
そう愛は増殖するのだ