真の強さとは何か?

      2019/04/21

 君は言う。

 人生をさも知っているかのように••••「大人はズルい••••だって、誤魔化しているだろ」

 誤魔化してって⁈

 「だって、大人は夢を捨ててるのさ。俺のオヤジなんて上司にペコペコしちゃって、まったく情けないよ」

 情けないか⁈

 「夢を捨てちゃったら終わりじゃない。大人になると自分を誤魔化して、夢を捨てて、ダサくなることだよ••••」


 「ちんけ過ぎるよ。普通過ぎるよサラリーマンなんて!毎日毎日同じことの繰り返しだぜ。オヤジは、きっと夢を捨てたんだよ。大した夢なんか、はなから無いだろうけど」と••••

 僕は一瞬、目を閉じて静かに思考した•••••

 誰しも若い頃は、大きな夢を追うのかもしれない。たとえそれが漠然とした、めまいを起こすくらいに大きな夢でも•••••

 彼の言うように、彼のお父さんは夢を捨てたのだろうか?
 そして、大人になることは夢を捨てることになるのか?

 日々のカウンセリングの相談者の中に、美味しい言葉に乗せられて、詐欺にだまされる人がいる。病気が治ると信じてカルト教団に入信する人もいる。この誰も知らないシークレットの情報を知れば君も夢に近づくと言われ高額の自己啓発セミナーに通う人もいる。

 これらの心理的な特徴の共通点は「自分だけには美味い人生があると信じている」「自分は特別で、誰も知らないスゴい話が舞い込むと信じている」「自分にだけは、驚く奇跡が起こると思っている」

 そう「夢」を信じ、現実を見ないで自分だけ特別だと思っている。彼らは「普通」の人生を否定する。

 昔から宗教に入る人は「貧・病・争」と言われた。この宗教に入信して祈れば成功する。これを拝めば病気が治ると信じ、嫁姑の争いがなくなると思って入信するのだそうだ。

 僕は、メンタルヘルスの講座で伝えたいことは、貧しくても、金持ちでも同じくらいに楽しめる精神が大切だということ。また、病気から学ぶこともあるし、嫁姑も互いにわかったうえで仲良く争えば人生は楽しくなるということ。

 僕は思う、君のお父さんは、逃げたのでもなければ、夢をあきらめたのでもない••••

 本当の強さを、お父さんは身につけたのだと‼

 気づいたのさ、本当の強さとは何かに•••••

 そう君の嫌う「普通」という地道な努力から逃げないことが勇気だと。

 いくら、「夢」があっても誰かを守れなければ真の強さでないことを••••

 デカい夢を語らなくても、夢で自分をアピールしなくても、生きられるほどに、お父さんは強くなったのさ!

 そして、もっと大切な夢を見つけたのさ‼

 それを教えてやろうか⁈ 坊や君••••

 それはねぇ、現実と戦ったこともない坊やを、普通という戦いの苛酷さも耐えられないで、減らず口をたたく甘えん坊を、世間の厳しさから守ることを夢にしたんだよ、君のお父さんは‼

 それのどこがカッコ悪いって••••

 「普通」という位置では勝てない忍耐のない君が「デカい夢」を語らないことには、何も自分をアピールできない君のどこにカッコ良さがあるんだい⁈

 教えてくれないか⁇

 シャドーの僕も、ここまで••••

 僕も普通に耐えられる大人だから、笑顔で切り出した••••

 「そうだね、お父さんの夢って何だろう?」と••••

 大人のカウンセラーとして•••••





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