上司は弱さは出して良い。PartⅡ
2019/04/21
前回のつづきですが、「自分を出せない上司」は、自分の弱さを出したらバカにされると思っている。上司は完璧でないと部下はついて来ないと思っている。
しかし、自分の弱さを出したほうが人と分かり合えることもある。
なぜなら、人は誰にでも劣等感がある。だから、完璧だと人から妬みを引き起こしやすい。でも、その完璧な人が弱さをさらけ出すと、「なんだ、この人も弱いところがある普通の人間なんだ」と相手の劣等感を刺激しない。それに、心を開かないと、相手も心を開きにくい。
いろいろな企業の研修を担当していると、人事の人と食事をする事がある。食事に来ているのに、かたい姿勢をくずさず、いっこうにフランクな雰囲気にならない。
気になったので「いつも、みなさんはこのようなかたい雰囲気での食事会なのですか?」と尋ねると「衛藤先生はカウンセラーだから、心の中が見えるのですよね」と言われた。「はい!読めます」と言えば、完璧なカウンセラーとして見られるかもしれません。でも、それでは、お互いに親近感を持ち得ない。
そこで僕は「それは、スピチュアルカウンセラーの江原啓之さんです。僕はスピチュアルではなく、心理カウンセラーですから、ましてやカウンセリングルームなら別ですが、食事したくらいで心が読めるなら、心理テストもカウンセリングも必要ないから苦労はしないですよ。人を妖怪Satoriみたいに言わないでください(笑)」って。
「なんだ、安心しました。先生も普通なのですね。そんな簡単には心は読めないですよね」と、一瞬にして場は和むのです。こうして、相手に油断させて、僕はその人達の心を読むのですが•••••(笑)
冗談です。
僕は教育委員会に頼まれて仕事をすることが多い。教師の子供は、おうおうにして問題児が多い。親が非のうちどころがなく、完璧をよそおって生活しているので、子供は親に親近感を感じないようです。
でも、ある校長の子供が家出をした時、校長先生自身が迎えに行って、周囲に恥ずかしいくらいに校長は泣いた。「父さんに教えてくれ。何が悪かったのだと•••」
その時、息子は初めて先生ではなく、親として父を感じたと話してくれました。
「その時の父の泣く声が、自分とソックリだった」
恋人と分かり合えないという人も、自分が「淋しい」と自分を語らないで、相手ばかりを責めている。だから、分かり合えないのだと僕は思う。
だから、自分を開く、I(アイ)メッセージを僕は教室で教えるようにしている。You(ユー)メッセージで、相手を責めてもしかたがない。
学校の先生が、子供達にYou(ユー)メッセージで叱っている時には、子供達が先生に従わなかったが、I(アイ)メッセージで「教室の掃除ができていないと、職員室で『先生のクラスは最低だ』と言われると、自分のクラスがバカにされているようで先生は哀しいの••••」と言ったら、一番掃除をしない問題児グループのリーダが「なぁ、みんな掃除しようぜ」と言い出して、ホームルームの時間にクラス全員が掃除を始めた•••先生は感動で涙が出たそうです。
ステキな話でしょ。
あるビール会社の鬼の部長が、自分の弱さを出して、「助けてくれ」「皆と一緒に成功を喜びたいのだ」とI(アイ)メッセージで頼んだら、部下が結束して、新製品の開発に拍車がかかった事例もある。
権力の座に座っていた権力上司が
部下に正直にアイメッセージを語った。
その上司の姿を見て組織は変わったのです。<マンガでわかる上司と部下の職場系心理学(実業之日本社)より
>
このように心の扉は、内側にしかノブがないのです。開ける時には自分から••••
しかし、自分を出してバカにされるのが怖いと言う人もやはりいるのでしょう。
その時は、バカにした人が、こちらをすべて知ったうえでバカにしたわけではないし、その人の考え方や生き方なのです。「人をバカにするしか自分をアピールできない可哀想な引き下げの心理の人なんだ」と逆に哀れんでやればいいのです。
自分をさらけ出さないで後悔するよりも、さらけ出して後悔するほうがいい! 人生は一回ですよ。
また、マイナスな噂が永遠につづくわけではありません。もし、続きそうなら、自分はずーっと周囲に関心をもたれるくらい有名人なんだと、不敵に大きく笑えばいいのです。
本当に強い人は、自分をさらけだせるのです!
つづく••••