Home MAP 永遠の信頼と尊敬~変わる事のない思い~
永遠の信頼と尊敬~変わる事のない思い~

名古屋校  櫻井 清美さん(47歳 女性)


「人は泣きながら生まれて、笑いながら死んでいく。」

この言葉は私が日本メンタルヘルス協会で最初に出会った言葉で、耳にしたと同時に涙がこみ上げてきました。
「本当だ。その通りだ。」
亡くなった父の事が、頭にそして私の心に鮮明に浮かびました。

7年前、私の尊敬する大好きだった父が、5年間の闘病生活の末、ガンで亡くなりました。父はスポーツマンで、私が物心ついた頃から、野球部の監督・ソフトボール部のコーチなどをしており、周りのたくさんの人達からも信頼・尊敬されていました。
私はそんな父が自慢でもあり、亡くなった今でも尊敬の気持ちが変わることはありません。
「できる事なら・・・お父さん!生き返って!」と何度も願う事があります。
それは、父が娘の私に無条件の愛を注いでくれたからだと思います。
まさに、「 I love you because you are you (私はあなたを愛しています。なぜならば、あなたはあなた自身だから)」
この言葉を日本メンタルヘルス協会の講座で聞いたとき、ハッとしました。
父は私にこの言葉を教えてくれた人だと思いました。

私は父の口からマイナスな言葉を聞いた事がありません。
いつも明るく冗談を言っては周囲を笑わせて、私が悩んでいる時は何も口出しする事なく、ちゃんと話を聞いて見守ってくれていました。
今になって思えば、父は私の心の癒しであり、心理カウンセラーだったのです。
そんな父も病状が悪くなり、亡くなる3日前には、「もう1年だけ生きたかった。」と初めて私に涙を見せました。
父の弱った姿を見たのは、それが最初で最後でした。
その翌日の夜、突然私の携帯が鳴りました。父からでした。
「清美か?お父さんだよ。いつもありがとうな。お父さんはもう大丈夫だからな。心配かけて悪かったなぁ。」

私は「何言ってるの。そんな事で電話かけてきてくれたの?ありがとう。体、大丈夫?おやすみ。」と言って電話を切ったのですが、何か嫌な予感、虫のしらせのような・・・。
私の中で「何か変だ。いつもと違う!」違和感を感じました。


私は父からかかってきたばかりの携帯電話を胸に抱きしめて、声をあげて泣きました。
翌朝、母から父が危篤状態だと電話があり、あわてて病院へかけつけました。
みんなに見守られながら、父はがんばっていました。私は父の手を握りしめ「お父さん、ありがとう。もうがんばらなくていいよ。」と心から言いました。
父は「ごめんな。ごめんな。」と言って、それきり目を開ける事はありませんでした。
その2日後、父はみんなに見守られながら息をひきとりました。
とても静かに安らかに・・・・。

父が亡くなり、少ししてから私は軽い心身症になってしまいました。
毎日がしんどく、動悸もひどくなり、不眠、無気力、そして笑うことができなくなりました。薬もだんだん増えていき、心身共に辛い日々が続きました。
そんな日が続くある日、息子が私に言いました。
「おかん、どうしたん?ダサイ服着て、おかんらしくないよ・・・・・。」
息子も見るに見かねて言ったのでしょう。
20歳前の息子に言われると、さすがに私もショックでした。
そして、続けてこう言いました。
「おじいちゃんは強い人やったよ!おかんも、そのおじいちゃんの娘なんやろ?おじいちゃんが悲しむで!!」
とても心に響きました。
この言葉がきっかけになり、どうしたらこの状態から抜け出せるんだろうと考えるようになりました。

そんな時、従妹から日本メンタルヘルス協会の事を教えてもらい、最初の体験セミナーに参加させていただきました。
「何か自分を変える事ができるかもしれない!これから楽しい日々がくるかもしれない!」漠然とそう感じた事を覚えています。
早速、基礎コースを受講しました。予想以上でした。
受講するたびに、すごく気持ちが楽になり、自然と声を出して笑っている自分に気付きました。薬がまったく必要なくなった訳ではありませんが、鬱のような症状はだんだん無くなっていきました。
それだけではなく、心に余裕がでてきたのか、友人の悩みの相談を受けても、必ずその友人達は安心し、納得して帰っていく事が多くなりました。私にとっては大きな変化でした。

基礎コース後編で学んだ音楽療法・自律訓練法(自己催眠)はとても私の心に残り、すぐ日常の生活の中に取り入れました。
悲しい時は、無理に楽しい曲を聴くのではなく、悲しい曲を聴いて思い切り泣く。
夜中に気分が悪くなった時は、呼吸を整えて「大丈夫、大丈夫」と自己暗示をかける。
この事で、私の体と心はとても楽になりました。



私は父が病気になってから、ずっと緊張した状態で心身共に疲れ切ってしまっていました。でも、日本メンタルヘルス協会の講座を受講していく中で、父の死を受け入れる事ができなかった結果、心身症になってしまったという事を自分で理解し、それをどのように解決していくか、この答を出すことができました。
生きている事への感謝、人はたくさんの人に支えられて生きている事も教えていただきました。
そして、何よりも「笑う事」。声を出して笑えば生きている事の素晴らしさを実感できました。悲しい出来事も、いつか良い思い出として受け止める事ができる時がくるということも・・・。

衛藤先生、涙がでるほどの笑いと感動の講座をいつもありがとうございました。
また、いつも明るく声をかけて下さったボランティアスタッフの皆様には、心を解きほぐしていただきました。
講座後の私はいつもテンションが上ったまま、夜中に一人で電車に揺られて帰宅したものです。
そして、一緒に学んだ受講生の皆様にも心より「ありがとう」と伝えたいです。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございました。

 

~受講生のレポートより抜粋~
  紹介スタッフ:吉原

清美さん、本当に今でもお父様が大好きなんですね!
でも、レポートを読ませて頂いて「好き」という言葉よりも
「愛している」という言葉のほうがぴったりだと思いました。
清美さんとお父様はお互いに【I love you because you are you】だったんだなぁと。

愛している人が目の前からいなくなってしまう・・・・本当の悲しみは当事者にしかわかりません。
5年間もの長い闘病生活の間もずっと気を張っていた心が風船のように割れてしまい、
笑うことができなくなった清美さん。

私は基礎コース修了パーティーではじめて清美さんにお会いしました。
でも、その時お会いした清美さんはとても素敵な笑顔をされていました。
笑うことができなかったとは、今でも信じられないくらいの笑顔で
息子さんの事を話してくれたのを覚えています。

「私は修了ですが、今度から息子が基礎コースを受講するので、よろしくお願いします。」
私は、親子で同じ講座を受講できるって、素敵なご家庭だなぁと思いました。

笑うことができなくなった状態の清美さんに、動くきっかけとなった言葉をかけたのはこの息子さん、

そして清美さんが講座を通して心身共にキラキラと変わっていく姿を見て、今度は息子さんが講座を受講。
今ではこの息子さんはボランティアスタッフとして講座準備等のお手伝いをしてくれています。

「メンタルに行く時の息子は、いつも本当に楽しそうなんです!
私も息子からメンタルでの話を聞くのが楽しみなんですよ。」
電話で清美さんがこう話してくれました。
電話口の清美さんは素敵な笑顔だったと確信しています。

今回このレポートを紹介させて欲しいとお願いの電話をする時、
私は「清美さんがお父様の死を思い出す事になるかもしれない。」と少し不安に思っていました。
でも、清美さんは迷いなく「私のレポートでよかったら、ぜひ掲載して下さい!」と言ってくださいました。
清美さんの心に今もお父様がいる事は変わらないと思います。
ただ、過去にしばられることなく、今と未来に目を向けている清美さんがそこにいました。

そして、清美さんとお父様の関係が、今は清美さんと息子さんの関係に繋がっているんだなぁと感じました。
「愛」を感じるレポートありがとうございました!